WEリーグ12クラブのXを765投稿調べてみた。伸びる投稿、フォロワー増減、クラブごとのSNS運用を数字で見る

少し前から、WEリーグ各クラブのXについて、フォロワー数の増減や各投稿のインプレッション、いいね、リポスト、引用数などを自動で取得しています。

当初は投稿から48時間前後で取得したり、過去の投稿を遡って取得したりと試行錯誤していましたが、現在は基本的に「投稿から24時間経過した時点」で数字を取得する形に統一しました。正式な24時間データも、8月31日時点で266投稿まで増えています。

ただ、クラブ別に見るとジェフが10投稿、仙台が13投稿、C大阪が14投稿など、まだ「このクラブはこういう運用傾向です」と語るには母数が少し足りません。そこで今回は、これまで取得して保存してある旧48時間データと、取得開始時に遡って保存したデータも分析材料として統合することにしました。

今回の投稿分析について

母数を確保するため、「24h」「旧48h」「初回遡及」の3種類、WEリーグ12クラブ合計765投稿を参考統合しています。ただし、投稿後の取得時点は同じではありません(正式24hは平均24.5時間、旧48hは平均49.0時間、初回遡及は平均98.2時間後)。

当然、経過時間が長い投稿ほどインプレッションや反応数は積み上がります。そのため、平均インプレッションなどの絶対値を厳密な同条件ランキングとして扱うのではなく、投稿カテゴリ、中央値、相関の方向、同じ取得区分内での相対的な強さなどを見るための「参考統合分析」としています。(※移行時に遅れて取得した「24h補完」は分析から除外しています)

この統合により、クラブ別の投稿数は最少のジェフでも32投稿に。広島は134投稿、ノジマ78投稿、ベレーザ70投稿、浦和67投稿、新潟65投稿、C大阪64投稿まで増え、以前よりもだいぶ「それっぽい傾向」を探れる母数になってきました。

そして今回、データを増やしてあらためて計算してみたところ、前回気になっていた「引用」と「インプレッション」の関係について、非常に示唆に富む面白いデータが見えてきました。

まず、取得時間が違うデータを混ぜて大丈夫なのか

ここは最初に確認しておきました。今回使う765投稿の内訳は以下の通りです。

取得区分 n 平均取得時点 平均imp 中央値imp
正式24h 266 24.5時間 10,064 6,098
旧48h 168 49.0時間 11,911 7,179
初回遡及 331 98.2時間 12,412 6,615

やはり取得時間が長いデータほど平均インプレッションは少し高くなっています。そのため、「浦和平均26,000imp、長野平均6,000impだから4倍強い!」といった単純比較は危険です。クラブによって24h・48h・初回遡及のデータ構成比が異なるからです。

ただ、今回見たいのは単純な平均値だけではありません。例えば「引用が多い投稿ほどインプレッションも多くなっている」という関係性について、取得区分ごとに別々に計算してみました。

引用とインプレッションの関係は、24hでも48hでも遡及データでも残った

取得区分 n 引用×imp RP×imp いいね×imp
正式24h 266 0.728 0.453 0.381
旧48h 168 0.737 0.696 0.578
初回遡及 331 0.775 0.664 0.550

これは結構面白い結果です。正式24hだけでも0.728、旧48hで0.737、初回遡及でも0.775。つまり、「取得時間の違うデータを一緒にしたから、たまたま相関が出た」というわけではなさそうなのです。

765投稿をすべてまとめた場合の「引用×インプレッション」の相関は0.749。さらにインプレッション上位1%のバズ投稿を除外しても0.745と、かなり強い相関が残ります。

ただし、「引用が一番大事」と結論づけるのも違った

ここでもう一つ別の計算をしてみました。ここまで使っていた「Pearsonの相関係数」は数値の規模(例:10万imp、20万impといった大きな投稿の影響)を強く受けます。

そこで今度は、実際の数字の大きさではなく「投稿を順位にした時にどれくらい一緒に並ぶか」を見る「Spearmanの順位相関」を計算してみました。

比較 Pearson Spearman
引用 × imp 0.749 0.734
RP × imp 0.607 0.775
いいね × imp 0.501 0.771

これを見ると、だいぶ景色が変わります。引用は、特に「インプレッションが大きく跳ねる投稿」とかなり強く連動しています。一方で、投稿を1位、2位、3位……と順位で並べた場合、実は「いいね」や「リポスト」もインプレッションとかなり綺麗に相関するのです。

なので、今のところの結論としては、「引用がアルゴリズム攻略の魔法のボタン」というわけではなく、「いいね、RP、引用など複数の強い反応を起こす投稿ほど広がりやすい。その中でも、極端に大きく伸びる投稿は引用数との連動が目立っている」と捉えるのが一番正確そうです。

そもそもX側も「引用数そのもの」に固定点を付けているわけではない

この話をするうえで、X側の推薦システム(アルゴリズム)についても触れておきます。2026年8月現在、Xが公開している「For You(おすすめ)」フィードのコードでは、フォロー外の投稿も候補に入り、同じランキングモデルで並べられます。

そしてアルゴリズムは、いいね、返信、リポスト、引用、シェア、投稿クリック、プロフィールクリック、画像拡大、動画視聴、滞在時間など、非常に多くの行動を「このユーザーがしそうか」と予測し、その予測値を組み合わせて最終的な順位を作ります。

X側も公開されている重み付けについて、「実際のいいね数や引用数に掛ける数字ではなく、そのユーザーがその行動をする予測確率に掛けるもの」だと明記しています。つまり「引用1件=いいね○件分」といった単純な足し算の仕組みではありません。

Xの公開アルゴリズムはこちら

今回こちらで行っているのは、SNSのハックではなく、もっと単純に「実際のWEリーグ公式アカウントでは、どんな反応が起きた投稿ほど結果的に大きく表示されていたのか」というファン心理の観察です。

クラブによって「引用とインプレッションの連動しやすさ」もかなり違う

765投稿まで増えたので、クラブごとにも計算してみます。

クラブ n 引用×imp
大宮 55 0.914
長野 42 0.905
C大阪 64 0.903
ノジマ 78 0.863
新潟L 65 0.810
浦和L 67 0.805
広島 134 0.798
ベレーザ 70 0.782
ジェフ 32 0.666
仙台 57 0.608
エルフェン 44 0.603
INAC 57 0.434

大宮、長野、C大阪は0.9超え。「引用される量が多い投稿ほどインプレッションも高い」という関係がかなり綺麗に出ています。ただし、ここでも「相関が高い=SNSが上手い」という話ではありません。むしろ相関が低い側を見ると、非常に重要な事実が見えてきます。

INACは交通事故のお知らせ1本で、引用とimpの関係がかなり崩れていた

INAC神戸レオネッサ

交通事故の発生について

125,097 imp / 275いいね / 22RP / 15返信 / 9引用

取得:正式24h / 投稿約24.6時間後

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インプレッションは12万5097まで伸びているのに、引用はわずか9件。INACの全57投稿における「引用×imp」の相関は0.434で、12クラブ中で最も低い数値でした。ところが、この最大imp投稿を1本だけ除外して再計算すると、相関は0.434 → 0.748へと一気に跳ね上がります。

つまり、普段の投稿では引用とインプレッションは連動しているのに、「交通事故の発生」というファンが引用したくなくても内容を確認する必要がある重要情報が1本入るだけで、その関係性は大きく崩れるということです。

これはSNS運用において非常に重要な例です。「語りたくなるから広がる投稿」と「情報そのものに強いニュース価値があるから広がる投稿」は、結果的に同じインプレッションを生んでいても、その本質は全く異なります。

エルフェンと仙台にも同じような現象があった

エルフェンも全44投稿では引用×impが0.603ですが、最大impの投稿を外すと0.923まで上がります。

ちふれASエルフェン埼玉

8/22 N相模原戦 試合結果。監督・選手の試合後コメントを掲載。

90,946 imp / 78いいね / 8RP / 4引用

取得:初回遡及 / 投稿約62.0時間後

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仙台も全57投稿の0.608から、最大imp投稿を外すと0.844まで上昇します。

マイナビ仙台レディース

8/23ホーム開幕戦のイベント情報を公開。

97,935 imp / 103いいね / 23RP / 9引用

取得:初回遡及 / 投稿約138.2時間後

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こうした特定の「ニュース価値特化型」の投稿があるクラブに対して、「相関が弱い=ファンが反応していない(SNSが下手)」とは到底言えません。むしろ、ファンからの引用という別ルートを使わなくても大きく表示されるほど、発信情報自体が強い力を持っていたという見方が自然です。

逆に、大宮・長野・C大阪は「反応の強い投稿ほど伸びる」がかなり綺麗

一方で、大宮は最大impの投稿を除いても相関0.860、長野は0.826、C大阪は0.883と、特定の1本のバズによって作られた数値ではないことがわかります。

大宮:悪天候による浦和戦のキックオフ時間変更

44,204 imp / 157いいね / 103RP / 30引用

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大宮:浦和戦のスタメン発表

26,536 imp / 249いいね / 52RP / 25引用

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長野も同様に、スタメン(約2.8万imp/18引用)や試合終了(約2.1万imp/12引用)など、「ファンからの反応が大きい投稿ほど、結果としてインプレッションも比例して大きくなる」という構造自体が極めて綺麗に機能しています。

ベレーザも70投稿まで増やすと、かなり見え方が変わった

前回、正式24hのデータだけで見た際はベレーザの相関はかなり高い数字になっていましたが、今回70投稿まで広げると0.782に落ち着きました。それでも十分強い数字ですが、ベレーザの特筆すべき点は「スタメン発表」や「選手情報」の爆発力です。

日テレ・東京ヴェルディベレーザ

AC長野パルセイロ・レディース vs 日テレ・東京ヴェルディベレーザ スタメン発表!

116,791 imp / 382いいね / 72RP / 36引用

取得:正式24h / 約24.7時間後

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また、ジェフ戦前の本多桃華選手の負傷リリースも約5.4万imp・39引用まで伸びています。ベレーザは「試合中の喜怒哀楽」だけでなく、選手にまつわる情報提供がファンからの強い引用(反応)を引き出していることが窺えます。

投稿カテゴリで見ると、スタメン・ゴール・試合結果がかなり強い

取得時間が混在しているため、カテゴリ別の平均impだけを見るのは危ういです。そこで今回は、普通の平均値に加えて、「同じ取得区分の中で、その投稿がどのくらい上位だったか(0〜100に数値化)」も計算してみました。

カテゴリ n 平均imp※ 中央値imp※ 平均引用 取得区分内順位
試合速報・メンバー 28 25,283 16,406 14.2 79.4
ゴール・得点 40 17,579 12,066 5.8 65.0
試合結果 25 18,319 17,556 11.2 64.6
選手・舞台裏 40 22,158 8,298 5.5 55.9
イベント・集客 56 11,991 6,494 2.5 50.0
チケット 34 9,220 6,164 1.6 47.2
試合告知 156 9,061 5,252 3.5 44.0
練習 32 6,409 5,066 1.4 42.0
グッズ 27 6,206 4,496 1.5 37.0

※平均・中央値impは取得時間の異なるデータを含む参考値。

この見方をすると、やはりスタメン・メンバー発表が圧倒的に強い(取得区分内順位79.4)ことがわかります。ゴール(65.0)や試合結果(64.6)も高く、取得時間差のノイズを吸収しても、この3カテゴリは王道として強いコンテンツだと言えます。

浦和は「何を出しても比較的上位」に来る力が強い

クラブ別に見ても、同じように「取得区分内で何位くらいだったか」を平均してみました。結果、最も高かったのが浦和の78.8、次いで広島66.5、新潟61.8、ベレーザ57.0となりました。

三菱重工浦和レッズレディース:岡村來佳選手、所属先決定のお知らせ

288,257 imp / 614いいね / 123RP / 68引用

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浦和の最大インプレッションは岡村來佳選手のリリース(約28.8万imp)でした。しかしそれに限らず、大宮戦のスタメン(約11.5万imp)やキックオフ時間変更(約7.5万imp)など、同じ取得データ条件の中で毎回かなり上位に食い込んでくることこそが、浦和の地力の強さだと見ています。

広島は134投稿。やっぱり「量を出しても弱くならない」のがすごい

広島は今回、12クラブで圧倒的に多い134投稿を記録しました。しかも、取得区分内での平均順位は66.5で浦和に次ぐ2位。単純に数撃ちゃ当たる戦法ではなく、大量に投稿しながらも、それぞれの投稿が埋もれることなく高い数字を出し続けているのです。

サンフレッチェ広島レジーナ:中嶋淑乃のゴール動画

111,884 imp / 884いいね / 113RP / 31引用

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スタメン、ゴール、試合中の写真、選手コメント、イベントと、試合の一日を細かく切って大量に出す。それでもファンが反応し続ける。前回私が書いた「試合結果を知らせるというより、試合そのものをSNSコンテンツにしている」という広島の強みは、母数を広げたことでより明確に裏付けられました。

新潟は「大ニュースだけ」ではなく、普段の試合投稿もかなり強かった

新潟は65投稿で、同取得区分内順位61.8の3位。正式24h最大の宮本妃菜里選手の契約解除リリースが約19.9万impと跳ねていますが、それだけではありません。

アルビレックス新潟レディース:C大阪戦スタメン

68,684 imp / 734いいね / 123RP / 45引用

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キャプテン・副キャプテン決定が約11.5万imp、C大阪戦のスタメンも上記のように大きく伸びており、大きなニュースの爆発力だけでなく、試合やチーム編成にまつわる普段の投稿でもファンを巻き込む力を持っています。

ジェフも10投稿から32投稿へ。これなら少し傾向を見やすくなった

正式24hだけでは10投稿しかなかったジェフも、今回は32投稿まで分析対象が広がりました。

ジェフユナイテッド市原・千葉レディース:井上綾香 ゴール速報

28,476 imp / 195いいね / 38RP / 13引用

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開幕ベレーザ戦のゴール速報(約2.8万imp)、試合結果(約2.5万imp)、クラブが選ぶベストオフェンスのループシュート動画(約2.4万imp)、そして練習投稿(約2.3万imp)と、母数を広げてみると「試合速報しか届いていない」というわけではなく、コンテンツごとの広がりがしっかり見えてきました。

12クラブの投稿データをまとめると、現時点ではこんな感じ

クラブ n 24h 48h 遡及 参考平均imp 参考中央値imp 引用×imp
浦和L 67 25 12 30 26,151 13,656 0.805
新潟L 65 26 26 13 16,304 8,567 0.810
広島 134 68 11 55 13,475 8,838 0.798
ベレーザ 70 23 27 20 12,836 7,857 0.782
仙台 57 13 19 25 10,677 5,750 0.608
ジェフ 32 10 19 3 9,628 5,043 0.666
INAC 57 13 7 37 9,448 4,813 0.434
エルフェン 44 14 7 23 8,374 3,400 0.603
大宮 55 23 0 32 7,922 5,186 0.914
C大阪 64 14 24 26 7,018 4,718 0.903
長野 42 23 12 7 6,165 4,330 0.905
ノジマ 78 14 4 60 3,883 3,003 0.863

この表の「平均imp」をそのまま単純な順位表として読むべきではありません(取得条件の構成比が違うため)。ただ、中央値や投稿数、そして具体的な投稿の相関関係をセットで俯瞰することで、各クラブのSNS運用のカラーが以前より格段に見やすくなりました。

投稿が伸びても、フォロワーが毎日右肩上がりに増えるわけではない

ここからは投稿データとは別軸で、毎朝ほぼ同時刻に定点観測している「フォロワー数」を見ます。こちらは取得条件が揃っているため、日ごとの増減をダイレクトに追うことができます。WEリーグ12クラブの増減を全部足すと、明らかなリズムが見えてきます。

計測日 12クラブ合計前日比
8/19 +13
8/20 +57
8/21 +36
8/22 +10
8/23 +229
8/24 +190
8/25 +42
8/26 -12
8/27 -90
8/28 -133
8/29 +27
8/30 +105
8/31 +173

動きはかなり分かりやすく、試合がある週末に増え、平日に入ると落ち込み、次の試合日にまた増えるというサイクルを描いています。

開幕戦の翌朝は、12クラブ全部フォロワーが増えていた

実際、8月22日に試合をした6クラブは、翌朝の計測ですべてプラス(浦和+55、大宮+29など)。翌23日に試合をした6クラブも、翌朝にはすべてプラス(仙台+39、新潟+42など)となりました。

スタメン、ゴール、試合結果、選手写真が一気にタイムラインに溢れ、対戦相手のサポーターの目にも触れる。DAZNや現地で初めて知って「この選手ちょっと気になる」とそのまま公式をフォローする。やはりクラブアカウントにとって、試合日こそが最大の新規獲得機会なのだと再認識させられます。

ところが平日は、普通に投稿していてもフォロワーが減る

一方で、8月27日朝から28日朝にかけては、12クラブすべてがマイナス(合計-133)となりました。この間も各クラブは普通に日々の情報を発信しています。つまり、「毎日休まず投稿していればフォロワーは少しずつ純増していく」という単純なものではないということです。

(※全12クラブが同日に下がるのは不自然でもあり、X側のスパムアカウント整理などの外部要因が入っている可能性もあります。そのため、1日の減少だけを見て「昨日の投稿内容が悪かった」と結論づけるべきではありません)

計測開始から見ると、C大阪だけはまだマイナス

8月18日から31日までのフォロワー増減を見ると、広島(+157)や新潟(+115)が大きく伸ばす中、C大阪だけが19,435人から19,410人と、わずかながら「-25」となっています。

クラブ 増減
広島 +157
新潟L +115
ベレーザ +80
浦和L +73
仙台 +60
大宮 +48
INAC +42
ジェフ +39
エルフェン +22
ノジマ +20
長野 +16
C大阪 -25

興味深いのは、C大阪の「引用×imp」の相関自体は0.903と12クラブでもトップクラスである点です。つまり「反応が起きる投稿ほど外へ広がる」というバズの構造は綺麗に作れているのに、アカウント全体のフォロワー純増には直結していません。

「単発の投稿を広く届ける能力」と、「継続してフォローし続けたいと思わせる能力」は別物である。これはSNS運用において非常に重要なポイントだと言えます。

結局「引用を増やせ」ではなく、「人が反応したくなる理由を作れ」なのかもしれない

今回、765投稿まで分析対象を増やしても、「引用とインプレッションの強い相関」は揺るぎませんでした。しかし、データを掘り下げれば下げるほど、「じゃあとにかく引用を促そう(バズを狙おう)」という単純な話ではないことが浮き彫りになります。

新潟の契約解除、エルフェンの負傷情報、ベレーザのスタメン、広島のゴール。同じ「引用1件」でも、そこに込められたファンの感情や意味は全く異なります。さらに、INACの交通事故のお知らせのように、引用という拡散アクションがなくても12万impまで到達する「純粋な情報価値」を持つ投稿もあります。

ですから、クラブ公式が意識すべきなのは「引用数」という表面的なKPIをハックすることではなく、「この投稿を見た人が、何か行動したくなる理由(フック)がデザインされているか」に尽きるのではないでしょうか。

いいねしたい、誰かに見せたい、自分の一言を足して語りたい、動画を最後まで見たい、このクラブをフォローして次も見たい——。X側の推薦ロジックも、まさにこうした「ユーザーの多様な熱量(行動)」を予測して表示順位を決めています。

今回の分析は、単なるアルゴリズム攻略論ではなく、「ファンが何らかの強い感情を抱き、反応したくなる投稿ほど、結果として外の世界へ届いていく」という、スポーツとSNSの本来あるべき健全な姿を示しているのだと私は読み取っています。

参考検証:公式アカウントと個人アカウントの「役割の違い」

さて、ここまで公式アカウントの運用傾向を語ってきましたが、ここで一つの比較検証を挟みます。「公式が発信する一次情報」と「サポーター(個人)が発信する現場の熱量」が、タイムライン上でどういう役割分担をしているのかを探るため、参考記録として私(matoくん)個人のXアカウント(8/26〜8/30の50投稿)の数値と比較してみました。

ちなみに、matoくんのXアナリティクスのデータをまとめたスクショがこちらです。こんな感じで集計しています。

matoくんのXアナリティクスデータ

アカウント 投稿数 総imp 平均imp
広島 68 798,301 11,740
新潟L 26 416,669 16,026
浦和L 25 392,065 15,683
matoくん(参考) 50 343,486 6,870
ベレーザ 23 299,853 13,037

※比較条件を合わせるため、クラブ側は正式24hデータのみ。matoくん側は最大バズとなった柴戸海の投稿(約11.8万imp)を除外しています。

総インプレッションで見ると、個人アカウントがベレーザ公式(23投稿/約30万imp)を上回り、全体4番手相当に食い込む結果となりました。イエイ!しかし注目すべきは「1投稿あたりの平均imp」です。ベレーザ公式の13,037に対し、個人アカウントは6,870。つまり、公式アカウントの「1本あたりの情報の強さ」は個人の約1.9倍なのです。

長野戦に見る、公式と個人の美しい「共犯関係」

この「役割の違い」が如実に表れたのが、ベレーザの長野戦でした。公式アカウントが放ったスタメン発表は、約11.6万imp・36引用という圧倒的な一次情報としての力を見せました。

日テレ・東京ヴェルディベレーザ公式

スタメン発表投稿

116,791 imp / 382いいね / 72RP / 36引用

Xで投稿を見る

それを見た私の個人アカウントは、新しい情報は一切足さず、ただ「スタメンエグすきて笑ってる」と感情を乗せて引用しただけで、約6.7万impを生み出しました。

matoくん(個人アカウント)

「スタメンエグすきて笑ってる」

67,642 imp / 49いいね / エンゲージメント率0.62%

Xで投稿を見る

さらに式田和選手のWEリーグ初ゴール時。公式アカウントが「最速の速報」を出し(約3.4万imp)、個人アカウントはその後、現地で撮った「先輩たちから手荒く祝われるシーン」というコンテクスト(文脈)を足して発信し、約8.4万impまで伸びました。

ベレーザ公式のゴール投稿を見るmatoくんの投稿を見る

公式が強い「一次情報の着火剤」を提供し、個人(ファン)がそこに「感情や現場の文脈」を乗せて自分たちのコミュニティへ再拡散していく。これこそが、クラブの話題がXのアルゴリズムに乗って長く、広く回っていくための理想的なエコシステムなのだと思います。

……と、一介のサポーターが偉そうにSNS運用を語ってしまいましたが、自分でも日々色々試行錯誤している一環ということで、大目に見ていただけますと幸いです(笑)。

現時点で一番「総合的に上手そう」なのは、やっぱり広島

結局、どこのSNSが一番上手そうなのか。クラブ内部のKPIが分からない以上、本当の意味での順位は付けられませんが、今のデータと外からの視点で評価するなら、やはり「サンフレッチェ広島レジーナ」の強さが際立っています。

134投稿という圧倒的な投稿量を担保しながら、平均imp順位も上位をキープし、引用との相関も強い。試合の一日を細かくコンテンツ化し、大量に出しても反応が薄まらない。結果として、計測開始からのフォロワー増減も12クラブ最大の+157人を記録しています。

発信する → 見られる → 反応される → アカウント自体が成長する。このサイクルが現状最も綺麗に回っているお手本だと言えます。

まだ13日分。ここから数字がどう変わるのかが一番面白い

今回使ったデータは765件まで増えましたが、データを取り始めてまだ8月。WEリーグのシーズンは始まったばかりです。

試合数が増えれば、勝っている時と負けている時でフォロワー増減に差は出るのか。ホームとアウェイでエンゲージメントは違うのか。スタメン投稿の無双状態はずっと続くのか。そして、引用とインプレッションの関係は、1,000件、2,000件とデータが蓄積されても揺るがない法則なのか。

そのあたりはまた数字が溜まった頃に、API代を払いながら続きを分析してみたいと思います。

最後に、この記事で使っている言葉と計算の定義

項目 この記事での定義
正式24h 投稿から24〜25時間程度で取得したデータ。今後の新規投稿はこの条件で取得。
旧48h 運用変更前に投稿から約48〜50時間で取得していたデータ。
初回遡及 データ収集開始時に過去の投稿を遡って取得したもの。今回のWE12クラブでは平均約98.2時間後。
参考統合 正式24h+旧48h+初回遡及を分析材料としてまとめたもの。取得時間が違うため、絶対値の厳密比較ではなく傾向把握に使用。
24h補完 24h移行時に遅れて補完取得したデータ。取得時間が不規則なため今回の分析から除外。
n 集計対象になった投稿数。今回の参考統合ではWE12クラブ合計765投稿。post_idの重複はなし。
imp インプレッション。投稿が表示された回数。ユニークユーザー数ではない。
平均imp インプレッション合計÷投稿数。参考統合では取得時間差があるため参考値。
中央値imp 投稿をimp順に並べた時の中央値。巨大な1投稿の影響を平均より受けにくい。
取得区分内順位 24h・48h・初回遡及それぞれの中で投稿のimp順位を0〜100化し、その平均を取った独自の参考指標。取得時間差の影響を少し抑えて傾向を見るために使用。
Pearson相関係数 2つの数値がどの程度直線的に一緒に増減するかを見る値。+1に近いほど正の関係が強い。外れ値の影響を受けやすい。
Spearman順位相関 実際の数字ではなく順位同士の関係を見るもの。極端に大きい数値の影響をPearsonより受けにくい。
フォロワー日次増減 原則毎朝7時26分前後に取得したフォロワー数と前日の同時刻付近との差。初日の8/18のみ11時09分取得。
matoくんの数値 X Analyticsから取得した8/26〜8/30の50投稿。柴戸海の118,226imp投稿は除外。投稿後24時間に統一されていないためクラブ公式との比較は参考値。

※今回の投稿分析は取得時点の異なるデータを参考統合しています。特にインプレッション、いいね、RP、引用などの絶対値をクラブ間で厳密に比較する用途には適しません。

※相関関係は因果関係を意味しません。引用が増えたからimpが増えたのか、元々話題性の高い投稿だったため引用とimpが両方増えたのかは、このデータだけでは判別できません。

※フォロワー数の増減には投稿内容以外にも、ユーザーのフォロー解除、アカウント削除・停止、X側のスパム対策や数値補正など、観測できない要因が含まれる可能性があります。

※Xの推薦アルゴリズムについては、2026年8月時点で公開されているFor Youフィードのコード・説明を参考にしています。公開リポジトリから実際のサービス運用のすべてが分かるわけではありません。

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