数年本気で追っかけてみて、改めて分かるベレーザの魅力とは?

はじめに

今回「東京ヴェルディアドベントカレンダー2025 🎄」に参加させていただきます、matoと申します。

とある日をきっかけに、ベレーザの試合をほぼ全て現地観戦してくるほど熱中してしまい、そんな自分だからこそ語れる「ベレーザの魅力」を記事にしてみました!

今年は西が丘で行われるホーム戦に、ヴェルディのユニフォームを着用して応援に駆けつけてきてくれるファンの方も多いようなので、ヴェルディ・ベレーザのどちらのファンとも仲良くできればと思っています。

今回の記事では、そんなベレーザに熱中した私の体験談と、そこから見えてきた女子サッカーの魅力みたいなものをまとめております。

それでは、以下よりよろしくお願いいたします🟢


ある日、ふらっと訪れた女子サッカーの試合。

私は結構フラフラと色んなところに顔を出すのが好きなタイプで、「ふーん」と言いながらその場の雰囲気や、独特の文化をその目と肌で味わいたい人だったりします。

ある日、ふっと思い立って女子サッカーの試合観戦に足を運んでみようと、千葉の方でやってるという、女子サッカーの試合を観に行くことにしたのが全ての始まりでした。

(その後ホームもアウェイも、リーグもカップ戦もすべての試合会場に足を運ぶほどのめり込む結果になるとは想像もしないまま……)

私とベレーザの出会いは2022年の8月、いまから3年前のフクダ電子アリーナでのこと。ベレーザがアメリカ遠征から帰国してすぐのWEリーグカップの試合でした。対戦カードはジェフレディースvsベレーザ。

↑Googleフォトを探ってみたら、その時の写真が出てきた

当時の私の知識では正直「ベレーザ」という女子チームがあるということだけ。

それから女子サッカーは「WEリーグ」というプロリーグが始まったという知識こそあったものの、他にどんなチームがあるのか、どこで試合をやってるのかすら知らない状態でした。(さすがにINACぐらいは知っていたかも)

その試合の結果は0-0のドロー。アメリカ遠征から帰ってきたばかりの選手たちの疲れが目に見えて分かる試合展開で、「ふーん、こんな感じか」とあっさりと初めての出会いが終ったのが始まりでした。

実は初対面でベレーザの試合にハマることはなく、なんとなく1回見に行った縁もあり、そこからは結果ぐらいをチラチラ見る程度の関心度合いでした。

その後、ベレーザがWEリーグカップの決勝に勝ち進んだことを知り、当時の彼女(いまの奥さん)に「西が丘で決勝戦の試合があるらしいけど、行ってみない?」と提案したところ断られ、その試合でベレーザが劇的逆転をされて負けたことは速報で知っていました。


そこから話は飛びますが、数カ月後の10月に再びベレーザとのタッチポイントが生まれます。

なんの因果か分かりませんが、東京都が主催していたチケット無料配布キャンペーンに応募をして当選し、2022-23シーズンのリーグ戦開幕のチケットを貰ったのがきっかけです。

ちなみに、これから何年もかけて何十回も足を運ぶことになる味の素フィールド西が丘(以下、西が丘と略)との出会いの日でもありました。

↑前に見たフクダ電子アリーナでの試合と違って選手が近く、迫力が段違い(フクアリも十分近いですが)

それまでの私にとって、サッカー観戦といえば「巨大なスタジアム」が当たり前でした。例えば、味の素スタジアムのような数万人規模の会場。選手たちは手を伸ばしても届かない遥か遠くの存在で、極端に言えば「テレビの中のスター」を遠くから眺めているような、どこか現実味の薄い感覚があったかもしれません。

そんな先入観があったからこそ、西が丘に足を踏み入れた瞬間、衝撃が走りました。「なんだこれは、近すぎるだろ!」

目の前にはすぐピッチ。選手の激しい息遣い、味方と合わせる目線、そしてバチン!とボールを蹴る重い音。普段の観戦では届かない、そんな細かい「フットボールの生々しさ」が、ダイレクトに目や耳に飛び込んでくるんです。

まずはこの圧倒的な「観戦環境の良さ」。これこそが、私がベレーザの試合を「面白い!」と感じた、最初の、そして最大の要因だと考えています。

よく『女子サッカーは男子に比べてスピードもパワーもないから、コートを狭くすべきだ』といった議論を耳にします。お恥ずかしながら、かつては私もそう思っていた一人でした。でも、実際にベレーザの試合を目の当たりにして、その考えは180度変わりました。

「スピードで誤魔化せないからこそ、技術と連携が嘘をつけない」のだと。

男子のような圧倒的なフィジカルがない分、彼女たちはボールを止める技術、パスを通す判断、そして全員で崩すイメージの共有を極限まで高めています。コートが広く感じるからこそ、パス一本の軌道の美しさや、組織で相手を崩す「サッカーの知的な面白さ」が際立って見えるんです。

あえて例えるなら、力と速さでねじ伏せるのが『格闘技』的な面白さだとしたら、ベレーザのサッカーはまるで『詰将棋』や『オーケストラ』のような、緻密さが生む美しさがあります。

やっぱり実際にスタジアムに足を運んで、そのプレーを間近で見た人にしか分からない「空気感」があるのだと思います。

そんなことを感じながら観戦したその試合は、1-0で勝利。藤野あおばが自ら獲得したPKを、自ら決めたゴールが決勝点となりました。

「こんなに強く、面白く、華やかなのに……」

これだけ素晴らしいエンターテイメントなのに、世間の注目度が低く、空席が目立つスタンドを見て、純粋な疑問と悔しさを感じたことを覚えています。

そこからはもう、沼に落ちるだけでした。流れるように翌週の試合にも訪れ、今度は浦和を相手に3-5の打ち合いの末に敗戦。勝っても負けても面白い、そんな壮絶な試合を体験することになります。

※完全に余談ですがこの記事を執筆するために公式データを見てみると、いまやトップチームの主力メンバーである眞城美春と樋渡百花がメンバー入りしていたり、ベレーザに移籍してきた塩越・猶本にゴールを決められていたりしました。

私と奥さんは、「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」とハッキリ言うタイプだったりします。つまらないものには容赦なく「つまらない」と言ってしまう私たちが、ベレーザの試合観戦においては満場一致で「これは面白い!」となりました。

こうして、西が丘とベレーザの魅力に取り憑かれた人間が誕生したわけです。

そんな私たちが次に向かったのは、長野でのアウェイゲーム。「女子サッカーを観るために長野まで行くなんて、なんか面白いじゃん」という旅への興味が半分。

そしてもう半分が、『北村菜々美』選手の存在でした。

下部組織出身の選手が大多数を占めるベレーザの中で、数少ない移籍組の彼女。私たちと年齢も近く、最強の生え抜き軍団の中に違和感なく溶け込むプレーの美しさ。そして何より、写真を趣味にする私にとって彼女は最高にフォトジェニックな存在でした。

被写体が魅力的すぎると、ついつい機材にお金をかけ、バズーカのような重たいレンズを担いでスタジアムへ通ってしまう……。物理的な重さも出費も気にならなくなるくらい、ファインダー越しの彼女たちには価値がある。これぞカメラマンの性(さが)ってやつですね。

そんな下心(?)もありつつ夜行バスで向かった長野Uスタジアム。

これが、とにかく素晴らしかった。完成して間もないスタジアムはどこもかしこも綺麗で、屋根があり、グルメも充実し、トイレも清潔。青々としたピッチから香る芝生の匂い。混雑しすぎず、でも熱気はあるという絶妙な居心地の良さ。

素晴らしい環境の中、試合も快勝。奥さんと二人、徹夜で作ったゲートフラッグを掲げて浮かれ気分で帰路につきました。今振り返ると、この最初の長野遠征があまりにポジティブな体験すぎたことが、その後の「遠征狂い(ぐるい)」の引き金になったのは間違いありません。

「もう全部行くしかない」そう決めた私たちはシーズンパスを購入し、残り試合を完走。さらに皇后杯を追いかけて栃木、京都、大阪へと足を運びました。その年、ベレーザは皇后杯決勝でINAC神戸を破り優勝。私にとって「応援しているチームがタイトルを獲る」という人生初の経験は、言葉にできないほど格別なものでした。

しかし、そこからの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。翌シーズンは無冠。リーグ戦では浦和やINACに勝てず、3位止まり。

一番の要因は、主力の海外流出でしょう。大活躍した選手がシーズンオフに海を渡り、残された若い選手たちで戦わなければならない。「育成のベレーザ」の宿命とはいえ、結果が出ない日々は選手にとっても、私たちファンにとっても苦しい一年でした。

それでも、ベレーザは止まりません。主力が抜けた穴を、次から次へと現れる才能ある若手が埋めていく。世代別代表のスーパースターたちが、それぞれの色で新しいベレーザを作っていく。

そして応援を始めて3年目。ついに念願のWEリーグタイトルに手が届きました。

何度も主力を引き抜かれ、ライバルチームに勝てない時期を乗り越え、それでも自分たちのサッカーを信じて勝ち取った総力戦での優勝。苦しかった時期を知っているからこそ、その優勝は私にとって、かけがえのない最高の思い出となりました。

数年間ベレーザを追いかけて、私なりに見つけた女子サッカーの魅力。それは逆説的ですが、「注目度が低いからこその贅沢さ」にある気がします。

WEリーグが集客に苦戦しているのは事実ですし、リーグの未来を考えればもっと盛り上がるべきでしょう。でも、だからこそ味わえる「自由」があるのもまた事実。

人混みに揉まれて疲弊することなく、お気に入りの画角でシャッターを切れる席を選べたり、試合後に周回してくる選手たちに直接「ナイスゲーム!」と声を届けられたり。Jリーグの巨大なスタジアムでは決して味わえない、この「特権的」な距離感こそが、私たちが沼にハマり続けている正体なのかもしれません。

いつかWEリーグが大人気になって、この「特権」がなくなってしまう日が来ることが正解なのでしょう。でもそれまでの間は、この場所で、彼女たちの成長とクラブの歴史を、奥さんと一緒にカメラに収め続けていこうと思います。

今週末もまた、私たちは西が丘の風を感じに行きます。

もし、冒頭の私のように「女子サッカー?ふーん」と思いながらここまで読んだあなた。

そんなあなたこそ、一度西が丘に来てみてください。かつての私たちがそうだったように、その「ふーん」が「面白い!」に変わる瞬間が、きっと待っていますから。そのたった1試合が、人生を彩る新しい出会いになるかもしれませんよ。

それでは、西が丘でお待ちしています。

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