皆さん、サッカー観戦は楽しまれておりますか?
サッカースタジアムは非日常的な熱狂を生み出す空間として、競技を知らずとも楽しめる最高な場所ですよね。近年ではテレビやスマートフォンといったデバイスで観戦するサッカーも最高です、手っ取り早く熱狂を手に入れられますので。
さらにサッカーは大枠のルールは簡単!ただ相手の守っているゴールにボールを入れるだけです。サッカーが老若男女・東西南北・世界各地で愛されるスポーツなのは、やはりこのシンプルであることが大きな理由の一つであると思います。
しかし、サッカーは「面白すぎてしまう」が故に欠点があると思っています。
それは、「”点”で見ても十分に楽しめすぎてしまう」ということです。
というのも、サッカーは動くボールに集中して、ゴールが入ったりシュートを止めたり、抜群のテクニックで相手を抜き去るプレーを見るだけで大変満足ができてしまいます。こういった短いプレーごとの楽しみ方を、私の定義では「点での楽しみ方」としています。
面白すぎるが故に、それ以上を求める必要があまりない。点で追い続けていても十分すぎるほど楽しめてしまうのはサッカーの持つ罪な部分です。
今回の記事で私が提言したいのは、「線で試合を観戦する視点を追加してみるのは、どうでしょう?」というものです。
先ほど定義しましたが、点での楽しみ方というのは、シュートやセービング、ドリブルといったピッチ上でのワンプレーのことを指します。また少しピッチから視点を外してみると「あの選手、かっこいいな」「あのマスコットかわいいな」というのも点での楽しみ方の一つだと思います。
その「点での楽しみ」を通る一本のタイムラインを引いて考えてみましょうというのがこの記事の本題です。
ピッチ内の例を最初に出していたので、ピッチ内部の話で考えてみましょう。
例えばサイドでの攻防を例に出してみましょう。ウイングと呼ばれるサイドの選手が相手を抜き去って、フリーでクロスを上げて味方がゴールを決めたとしましょう。
「すごいドリブルだ!」「キレがあって誰も止められないドリブルだね!」と見るのが点での楽しみ方ですね。
これを聞くと「点での楽しみ方で何が悪いの?」と思うかもしれませんが、結論何も悪くないです。むしろサッカーの本質的な面白さはそこだと思っているので、感情を爆発させて楽しみ、プレーに関与したプレーヤーを褒め称えるアクションはむしろそちらの方が正しいとさえ思います。
ただ、ここに線での楽しみ方を加えていきましょう。線での楽しみ方をするにあたっては、どのレベルでタイムラインを引くかが重要になってきます。
例えば今回の例で言うところだと、1試合という単位の線で見てみるのは分かりやすいですね。点として見たそのアシストの裏では、徹底的にマークを受けて何度仕掛けてもDFにドリブルをブロックされてしまっており、それでも諦めずに仕掛け続けた結果としてアシストに繋がったかもしれません。
それを少し引いて具体例で見てみましょう。点で見ると「凄くいいキックのピンポイントのアシストだった!」という感想が、線で見ると「この試合はマークに苦しんでいた中で足の止まりやすい後半にも積極的にチャレンジを続けて疲れを感じさせないキックでアシストに繋げた!」と幅が広がります。
シーズンという単位の線で見るのも分かりやすいですね。例えばそのアシストをした選手がシーズン中はポジション争いに苦戦していてなかなか出番を確保できない中でやっと掴んだチャンスで最後に意地を見せたプレーだったのかもしれません。もっと引いていくと、その選手のキャリアとして見た時にその点のプレーをどう語るかは変わってきます。
また、この線で見る対象を「選手」と置きましたが、それをクラブと置くのも、サポーターと置くのもありでしょう。自分が気になった点や感動した「点」からそのものをどういった長さの線で見るかも含めての咀嚼方法です。
総じて言えるのは、サッカーを線で見られるようになるとストーリーが見えてきます。ストーリーが見えることで一つの点に対してさらに強い感動と熱狂を感じられるようになります。これが私が「線で見たほうが面白いっすよ」と言いたい理由の大枠です。
そして、線で見るためには知識が必要になってきます。その選手がどんなキャリアを歩んできたのか、プロになってどんな活躍をしてきたのか、何を考えながら、何を目指してサッカーをしているのかなど。基本的に選手と直接話ができるわけではありませんので、インタビュー記事などから彼らの言葉に触れ、想像を膨らませる作業が必要になります。
最近のX(旧Twitter)では、サッカーを「線」で楽しむための深い情報よりも、「点」で見た短期的なポストが多く、ノイズまみれになっていると感じることがあります。情報収集の質を考えると、少し物足りないかもしれません。そんな時に活用できるのが、ChatGPTやGeminiといった生成AIです。
嘘の情報をあたかも本当にあるように語ってしまうことを「ハルシネーション」と呼んだりしますが、このハルシネーションにだけは十分に気をつけてください。
あくまでこれらは、インターネット上の膨大な情報を元に、ユーザーの指示(プロンプト)に従って、それらしい文章を生成しているだけです。そのため、その情報が正しいかどうかをWikipediaなどで裏付けを取るといったファクトチェックは必要ですが、Xで情報を探すよりも質の高い情報に出会える可能性があります。
ちなみにChatGPTやGeminiといったチャットAIには、時間はかかりますが、数百ものサイトを参照してじっくり分析してくれるディープサーチのような機能もあります。ある程度信頼性の高い情報を収集したいなら、こういった機能を活用するのも良いでしょう。
最後に具体例を見てみましょう。
2024-25シーズンのWEリーグ第4節、北村菜々美選手がアウェイ・セレッソ大阪ヤンマーレディースから奪ったゴールについて
【点】あくまで1ゴールとしての点
ボックス左角からカットイン、カーブかけた低いシュートをファーに決めた見事なゴール!
【線】彼女のキャリアとして見た時の線
北村菜々美選手が古巣セレッソから奪ったゴールは、彼女のキャリアを物語る特別な一撃。セレッソのアカデミーで9年間育ち、その才能の礎を築いた彼女は、さらなる成長を求め王者ベレーザへ移籍を決意。
そして迎えた古巣戦、かつての仲間を相手に決めた見事なゴールは 、技術と精神両面での確かな成長を証明するものでした。この一撃は、育ててくれたクラブへの敬意と感謝を示す「恩返し」であり、同時に、世界で戦える選手を育てるというセレッソの育成哲学の正しさを、敗北という痛みを伴って証明する賛辞でもあった特別なゴールでした。
うん、深みが違う気がしますね。
このようなストーリーが見えてくることで、単なる1つのゴール、1つのプレーをより楽しめるようになるかもしれません。ぜひ皆さんも素敵なサッカー観戦ライフをお過ごしください!