26/27 皇后杯関東予選 vs早稲田大&クラシエカップ1節 vsINAC神戸 感想

・昨日はもともとベレーザのINAC戦だけを見に行く予定だったんですけど、調べていたら午前中に皇后杯関東予選のメニーナ対早稲田大学の試合があることに気づきました。

・会場は那須塩原(栃木)。

「これ、メニーナ見てから西が丘までハシゴできるんじゃない?」と思って調べてみたら、思ったより全然いけそうだったんですよね。

・最近は皇后杯絡みでも栃木まで行く機会がなかったし、早稲田の女子サッカーも見てみたかったし、何よりメニーナの試合を現地でちゃんと見る機会が全然なかったので、せっかくだから行ってみることにしました。

・しかも那須塩原駅から会場方面へは「ゆータク」という自治体の乗合交通があって、かなり安く移動できるらしい。ラッキー、じゃあ午前はメニーナ、夕方はベレーザで行けるじゃん、ということで予定を組み始めました。

・で、僕は最近こういう遠征の予定を組む時にNotionとChatGPTを結構使っています。

・電車の時間から乗り換え、現地でどう動くかまで細かく詰めて、「あとはこの通り動けばOK」というところまで作ってから行く。今回もかなり細かく作ったので、ほぼ完全にそれを信用して出発しました。

・やっぱり“できる男”は”計画性がある”っていうのはよく言いますからね。

・すみません、私ばっかり、”先”に進んでしまって。

・結論、これが本当に最悪でした。

・まず、家から那須塩原へ行って、その後西が丘へ寄って帰るなら、土日用のフリーパスみたいなものを買った方が安いと言われていたんですよね。

3,000円前後だったので、「確かにこれなら得なのかな」と思って購入。僕のSuicaには通勤定期が入っているんですけど、その状態では今回のお得なきっぷをSuicaに載せられないらしく、わざわざ紙のフリーパスを買うことになりました。

・ところが改札を通ったあとに、「実際これ普通に行くよりどれくらい安いんだ?」と思って改めてGPTに聞いてみました

「そういえば通勤定期を持っていますよね。それを考慮すると差額はトータルで90円程度です」みたいな回答が返ってきた。え? わざわざ紙のフリーパス買って、普段と違う乗り方をすることになったのに90円しか変わらんのかいと。

・この時点で若干あまギレ気味だったんですけど、まあ大金を損したわけでもないので、そこはもういいですわと思いながら上野へ。

・事前にChatGPTから「上野駅からこの電車に乗れば宇都宮まで行けるっす🫨」と具体的に指定されていたので、上野駅で指定の電車に何も疑わずに乗りました。

・グリーン車でのんびり北へ向かっていたら、途中でなんかおかしいことに気づく。この電車、宇都宮まで行かない。小金井で終わる。

・「え??」となって慌てて小金井で降りて、そこから改めて宇都宮方面の電車へ乗り換えることになりました。事前に組んでいた予定はここで一回崩壊。なんでこうなったのか聞いてみたら、平日ダイヤを使って予定を組んでいたとかなんとか。昨日は土曜日です。

・しかも当初は「間に合わせるなら始発で出た方がいい」くらいの勢いで言われていたので、その通り出発したんですけど、あとから自分で調べ直したら、別に最寄りを始発で出なくても普通列車で十分間に合ったっぽい。この辺りから今回の遠征、だいぶやられてんな……となりました。

・なんとかリカバリーして那須塩原までは到着したんですけど、今度は例の紙のフリーパスでまた事件発生。

・フリーパスの有効区間から那須塩原までは追加で運賃を払わないといけなかったので、那須塩原駅の自動精算機に紙のフリーパスを入れて不足分を精算したんですよね。

・そしたらフリーパスがそのまま中に吸い込まれました。手元には精算券だけ。「え、これ帰りも使うやつなんですけど……」となりまして。

・これは普通に鉄道関係に詳しくない僕のミスでもあるので、駅員さんにはかなりご迷惑をかけてしまったんですけど、最終的にはうまく処理してもらって、その後は自動改札ではなく有人改札で見せて使う形にしてもらいました。90円程度しか得してない紙のフリーパスを買って、小金井で予定が崩れて、今度は精算機にフリーパスを吸われて、駅員さんに助けてもらって、その後は毎回有人改札を通る。もうこの辺で「これ本当に買う必要あった?」という気持ちがものすごいことになっていました。

・ただ、その後はゆータクも予定通りで、結果的にはメニーナの試合にはちゃんと間に合いました。

・今回かなり思ったのは、僕自身AIに判断を預けすぎるようになっていたなということ。

・もちろんめちゃくちゃ便利なので今後も普通に使うと思いますけど、少なくとも電車の時刻とか運賃とか、「一個間違えると予定全体が死ぬもの」については最後に自分で公式情報を確認しないとダメですね。

・AIがそれっぽく完成された旅程を出してくると、不思議と全部確認済みなんだと思ってしまうんですよね。今後もっと便利にはなるんでしょうけど、少なくとも現状では「AIに交通プランを作ってもらうのはいい。でも最後は絶対自分で確認する」が正解っぽいです。

・というわけで朝っぱらから若干心を削られながら、メニーナ対早稲田へ。ただ、結果的には本当に見に行って良かったです。

・今回のメニーナはそもそものチーム編成がかなり特殊で、須長ちゃん、エマちゃん、式田和といった選手がトップ側に回っているうえ、年代別代表組もいる。なので普段よりかなり若いメンバーで試合をすることになっていました。

3人はベレーザの方で試合出場するのでメニーナ側での出場はなし

・実際試合を見ていても、「ここ普段だったら須長ちゃんがやってるところだろうな」とか、「エマちゃんがいたらここはもう少し安定するんだろうな」とか、「式田がいない分、前のところはこうなるのか」みたいなのはかなり分かりました。ただ、それを誰か一人に無理やり埋めさせるというより、選手の立ち位置を動かしながら何人かで穴を埋めている感じだったんですよね。

・特に大きかったのは、やっぱり須長ちゃんがいない中盤をどうするかというところ。前半は伊藤風葵がアンカー気味の位置に入っていて、後半になると西尾咲希も低い位置に関わりながら、ツーボランチっぽく見える時間もあったり。普段なら須長ちゃん一人がかなり広く請け負っている仕事を、何人かで分担しながら成立させていたように見えました。

伊藤風葵

※補足しておくと、メニーナの選手の写真については、トップチーム登録されていて、すでにベンチ入りしたことのある選手(=これまでに公式メディア等で顔が公開されている選手)のみ掲載するようにしています。もし問題がありましたら削除しますので、お手数ですがご連絡ください。

また、やむを得ずそれ以外の選手が写り込んでしまう場合は、黒塗りやモザイク処理をしています。

今回の対戦相手だった早稲田大学については、大学公式HP上で選手の顔写真等が公開されていることを確認できたため、写り込んだ選手についてはそのまま掲載しています。ただ、こちらについても問題があれば直ちに削除しますので、ご連絡いただければと思います。

・試合前の自分の見立てとしては、高校生や中学生中心のメニーナ対大学生の早稲田なので、フィジカルで押し込まれ始めたらかなりしんどいんじゃないかなと思っていました。ところが実際に始まってみると、そのフィジカル勝負をさせられる前にボールを動かしてしまう。これが個人的には結構衝撃的でした。

・あんまり細かく書きすぎると研究材料みたいになるのも嫌なので印象に残ったところだけにしますけど、まずCBに入っていた栗田七海と尾上陽向がかなり安定していました。基本的にはCBの2人でボールを動かしながら、早稲田がどこを空けるのかをずっと探している。相手が前へ出てこないならそのままボールを持つし、食いついてきたら、その瞬間に背後を使う。

栗田七海

・特に尾上のロングキックはかなり印象に残りました。中央のFWへ入れるボールもあったんですけど、右ウイングの21番・安田ひらりの背後へ出すボールもかなり効いていました。安田もタッチライン際に立って待つだけではなくて、タイミングを見て一気に裏へ走る。そこへ尾上から長いボールが出ていく。

・だから単純に「苦しくなったから前へ蹴りました」というロングボールじゃないんですよね。ショートパスで相手を前へ引っ張り出して、近くの選択肢を何本も見せながら、相手が食いついた瞬間には遠くのスペースも使う。良かったのは「ショートパスでつないでいたこと」そのものというより、短い・長いの両方を相手を見ながら選べていたことなのかなと思います。

・もちろんその先は大学生とのフィジカル勝負になるので、全部収まるわけではないです。でも五分五分のところまで持っていけば十分というか、自陣でプレスに捕まって取られるより、一気に相手の後ろまでひっくり返した方が全然いい。この「近くをつなぎながら、ちゃんと遠くも見てる」というのが、最近メニーナから出てくるDFに共通してるような気もしています。

・昨日の夜にベレーザでCBをやったエマちゃんもそうだったし、U-20代表でCBをやっている朝生珠実も左足で長いボールを前線へ入れていました。ベレーザ系のサッカーって「細かくつなぐ」という印象が強いですけど、その細かいパスで相手を寄せておいて、出てきたら一発でひっくり返す。それができるCBを育てようとしているのかな、なんて思いながら見ていました。

諸田彩渚

・地上でつなぐ方では、両ウイングがかなり若いこともあって、それだけで全部崩していくのはさすがに難しそうな場面もありました。それでも片側で相手を寄せて逆へ振ったり、ワイドを使ったりと、短いパスを使いながら相手を動かして前進していく。

・そして何より、ボールを持った選手の後ろにも、斜め後ろにも、横にも、前にも、だいたい誰かがいる。たぶんこういうのを「配置がいい」と言うんでしょうけど、ボールを持った一人が無理やり相手を剥がさなくても、常にいくつか選択肢がある状態がかなり長い時間できていました。

・早稲田からすると守備の狙いどころを決めづらかったと思います。一人が前へ出れば、その横や後ろに逃げ道がある。全体で前へ出たら、今度は背後へ蹴られる。その繰り返しで、かなり長い時間メニーナがボールを持っていました。

・だから早稲田側は奪ったあとも簡単に前へ蹴ることが増えていたし、せっかくアタッキングサードまで入っても、最後のプレーが少し雑になる場面も多かったように見えました。単純に守備で跳ね返したというより、ボールを持って相手を動かし続けることまで含めて、かなり何もさせなかった印象でした。

・それでも1点取られたところは、早稲田の11番のシュートが普通にめちゃくちゃ良かった。個人的にはこの選手、将来WEリーグのどこかから声が掛かってもおかしくないんじゃないかなと思いながら見ていたんですけど、左足で綺麗に振り抜かれて、GKからするとかなり厳しいところへ入れられてしまいました。

・ただ基本的にはメニーナが主導権を持ったまま。1-0の時間が長かったのでスコア上はずっと怖かったんですけど、最後にポンポンと追加点を取って3-1。皇后杯本戦への切符もしっかり取ってくれました。

・そしてこの試合でかなりインパクトがあったのが安田ひらり。式田和が普段やっているような右ウイングのところに入っていたんですけど、タッチライン際までしっかり幅を取ってボールを受ける一方で、タイミングを見ながらダイアゴナルに中へ入ったり、背後へ一気に走ったり。かなり若い選手なのに、チームがどうボールを動かしているのかを見ながら「今どこにいればいいのか」「いつ裏へ走るのか」をかなり理解しているように見えました。

・で、ここからは完全に僕個人の推察の話。昨日のメニーナを見ていて改めて面白いと思ったのが、ベースとなるシステムをそこまで大きく崩していないところでした。

・局面では変えていましたけど、ベースは4-1-2-3というか、アンカーを1枚置いて、その前にインサイドハーフが2枚、両サイドにウイング、中央に1トップ。僕が過去に何度かメニーナを見た時も、この4-3-3をベースにしていることが多かった印象があります。

・この形を継続して使っていること自体が、育成年代ではかなり”大きいんじゃないかな”と思いました。4-1-2-3って、各ポジションでまず何をしなきゃいけないのかが比較的分かりやすいじゃないですか。

・CBなら守備をしながらビルドアップできるか。アンカーならCBからボールを引き出して、失わず前につなげるか。ウイングなら幅を作ったり、縦へ進んだり、相手を押し下げたりできるか。もちろん実際にはもっと色んな役割があるんでしょうけど、最低限の基準点が見えやすい。

・昔メニーナで須長ちゃんを見た時に、「この選手すごくいいな」と思ったのもまさにそこだった気がします。アンカーとして守備をしつつ、DFからボールを引き出して、相手に寄せられても簡単に失わず、そこから前につなぐ。そのポジションで必要なことを高いレベルでやっていたから、須長ちゃんという選手の良さがすごく分かりやすかった。

・式田ちゃんを以前右ウイングで見た時もそうで、縦へのスピードで相手を押し下げる。「あ、この選手はここがすごいんだ」というのが分かりやすい。だから選手側からしても、自分が何をできれば試合に出られるのか、逆に何が足りないのかが整理しやすいんじゃないかなと思います。

・まずそのポジションに求められている役割を遂行する。そのうえで、自分にしかないプラスアルファを出す。育成年代でこれを積み重ねられるのはかなり大きい気がします。別に4-3-3そのものが絶対に正解という話でもなくて、3バックでも5バックでも、各選手が「この局面で自分は何をするのか」を共有できていて、その中で評価の基準があるならいいと思う。

・ただ昨日みたいに高校生、中学生まで入ったチームが、相手を見ながらあれだけ同じ方向を向いてプレーしているのを見ると、メニーナの戦術浸透ってすごいなと思いました。

・そして、ここまでメニーナを見て「すげえな」と思ったからこそ、逆に気になったのが今のベレーザとの接続です。これは昨日一試合を見たから突然思ったことでもなくて、前からちょっと気になっていたところ。

・もちろんトップと育成年代では相手のレベルも違うし、同じサッカーをそのまま持っていけば通用するほど簡単じゃないのは分かっています。それに、細かくつなぐことや、相手を引き出したら遠くを使うことなど、共通して見える部分もあります。それでも昨日一日の中でメニーナとベレーザを続けて見ると、その共通する材料をどう使って前進するかという部分では、結構違いがあるように感じました。

・メニーナでは、近くに複数の選択肢を作って短くつなぎながら、相手が動けば空いた場所や背後を使う、というところまでかなり整理されているように見えました。一方で今のベレーザは、ボールをつなぐこと自体はできても、その先で詰まった時に個々の能力で局面を解決する比重が少し大きく見える。配置そのもので相手を動かして次の選択肢を作るところは、メニーナと比べるとまだ整理し切れていないのかな、というのが個人的な印象です。

・で、僕がこれを気にしているのって、10年後とか20年後の話でもあります。

・最近はFC東京がスフィーダ世田谷と組んで女子サッカーへ本格的に入ってくるような動きもある。もちろんベレーザには何十年も積み上げてきた歴史があって、メニーナという強烈な育成組織もあるので、すぐどうこうなる話ではないと思います。

・ただ今後もずっと「良い選手が自然とメニーナへ集まってくれる」という保証はない。ベレーザって、結局ずっと下部組織から上がってきた選手がトップの中心になって、それによって強さを維持してきたクラブだと思うんですよね。

・だったらメニーナであれだけ明確なサッカーをやって育ててきた選手が、トップへ上がった瞬間に全然違うことを要求されて、良さを出せなくなるようなことが続いたら、このクラブの一番大きな強みが薄くならないのかなと思います。

・極端な話、今のトップで使いやすい選手だけを考えたら、ものすごく足が速くて一人で縦へ運べるウイングとか、対人で絶対に負けないDFみたいな、個で完結できるタイプばかりが上げやすくなってしまうかもしれない。それだと、メニーナで色んな役割を覚えながら育っている選手の中で、トップまでそのまま持っていける選手の幅が狭くなってしまう気もします。

・眞城美春なんかを見ていても少し思うところで、もちろん眞城はどこでやらせても一定以上できてしまう選手なんですけど、個人的にはやっぱり4-3-3のインサイドハーフみたいなところで、ゴールにも近く、たくさんボールにも触れて、攻撃の方向性まで決められる位置が一番面白いんじゃないかなと思っています。

・それがトップでは前だったり、サイドだったり、ボランチだったりと色んなところで使われる。それだけ何でもできるということではあるんですけど、「この選手を一番輝かせるのはどこなんだろう」が少し曖昧になっているように感じるのも、育成とトップでサッカーが変わっていることと関係しているのかな、と。

・これは完全に外から見ている僕の妄想ですけどね。プロではカウンターの威力も違うし、メニーナでできていることがそのまま通用しないのも当然。ただ10年後、20年後までベレーザがベレーザとして強くあり続けることを考えた時に、「育成で育てた選手の技術と判断で勝つ」というところには、もう一度かなり強く賭けてもいいんじゃないかなと思っています。

・昨日メニーナを見て「この育成組織やっぱりすごいな」と思った分、その先でこの選手たちをどう使うのかまで余計に気になりました。

・そんなことを考えながらメニーナが3-1で勝ってくれたので、僕はもう完全にホクホク。

・試合後は那須塩原で野菜とハンバーグを食べたんですけど、野菜がめちゃくちゃうまかったです。「野菜ってこんなプリプリになるんだ」と思いながら食べて、そのまま今度は西が丘へ。

・帰りの交通についてはもうAIを信用しきらず自分でも調べ直したので、今度は特に問題なく到着できました。西が丘に着いた時は少し小雨がパラついていたんですけど、試合が始まってからはだいぶ止んでくれて良かったです。

・で、ベレーザ対INAC。

・いや〜〜〜〜〜BIG WIN!!!!!!!!!!!!

・あまりの嬉しさに、踊りながら帰りました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

・都営三田線が、ディスコ会場みたいで、私にはミラーボールが見えました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

・ざまあ!!!!!!!!!!望遠レンズ持ち込み禁止スタジア

・さて、内容については選手たち自身も試合後に納得している感じではなかったと思うし、僕も特に前半は「これどうするんだろう」と思いながら見ていました。

・前回の浦和戦でも少し思ったんですけど、今のベレーザって後ろでボールを持った時に、ショートパスを重ねながら前進しようとすることがかなり多い。ここは誤解のないように書いておくと、僕は別にショートパスをやめてほしいと思っているわけではないんですよね。むしろベレーザらしくボールを動かしてほしい。ただ、その短いパスが「相手を動かして次の場所を空けるためのもの」にならず、同じエリアで何本かつないだところを狙われてしまう場面が多いのが気になっています。

・午前中に見たメニーナも短いパスはかなり使っていたんですけど、近くに何人も選択肢を作って、相手が出てきたら一つ飛ばしたり背後を使ったりしていました。対してベレーザの前半は、1人、2人の関係の中で詰まってしまう時間が長くて、ボランチが前を向けなかったり、サイドへ逃がしても相手のスライドに捕まったりする。短いパスが悪いというより、その先の逃げ道や別の選択肢を作り切れていなかったように見えました。

・浦和戦でも前から圧をかけられてかなり押し込まれましたし、INAC戦も序盤から相手の圧力を受ける中で、自分たちのミスから危険な状況を作って立て続けに失点。1失点目はボールロストの流れから与えたFKを直接決められ、2失点目もバックパスを奪われてそのまま持っていかれた形だったので、あの入り方はかなり苦しかったです。

・左側も個人的にはちょっと気になっていて、以前松田紫野と北村菜々美で組んでいた時は、一度北村に預けて、そこからコンビネーションで前へ出ていく形がかなりできていた印象があります。今回はそのユニットを崩していたので、「なんでここ変えたんだろう」というのはまだ僕にはよく分かっていません。何か狙いは当然あるんでしょうけど。

北村菜々美

・そんな中で、浦和戦との一番大きな違いに見えたのが松岡瑛茉でした。CBに入ったエマちゃんが、とにかく長いボールを蹴っていたんですよね。個人的にはあれが、今のベレーザに足りなかった「相手が前へ出てきた時の次の選択肢」になっていて、ビルドアップを成立させるうえでもかなり良かったんじゃないかなと思いました。

松岡瑛茉

・エマちゃんのボールって単純に遠くへ飛ぶだけじゃなくて、相手DFがきっちり競りにいかないとそのまま前線へ通されるくらいのところまで届く。だから相手も対応しないといけない。短くつなぐ選択肢に加えて、「前から来るなら一発でその背後まで行きますよ」というものを見せられれば、相手もずっと同じ勢いで前へ出続けるわけにはいかなくなる。

・最初は前線となかなか合っていない場面もありましたけど、徐々に効いていたと思います。しかもベンチの近くで見ていたので、エマちゃんに対して「蹴れ」というような声が飛んでいるのも聞こえました。なので少なくともあの長いボールは、本人が適当に蹴っていたというより、チームとしてある程度狙っていたんじゃないかなと思います。

・これも午前中に見たメニーナとちょっとつながるんですよね。細かくつなぐチームだからこそ、「前から来るならこっちは一発でその裏まで行けますよ」という選択肢をCBが持っているのはすごく大きい。ショートパスとロングボールはどっちかを選ぶものではなくて、短くつなぐためにも遠くへ行けることを見せておく必要があるんだと思います。U-20代表で朝生珠実を見た時にも思いましたけど、センターバックが遠くまで見えていて、そこへ実際にボールを届けられるというのはかなり重要なんだなと思いました。

・だから途中からエマちゃんの長いボールが少し減ったように見えたのは、個人的にはちょっともったいなく感じました。何か修正があったのか、選手間でつなごうという話になったのかは外からでは分からないですけど、「あれ効いてたのにな」と思いながら見ていました。

・そして、そういうサッカーをするなら前線が伊藤琴音ちゃんである必要性も少し薄くなるのかな、とは思いました。琴音ちゃんって個人的には、背後へ何本もスプリントして勝負するというより、足元へボールが入ってからのプレーがうまい選手だと思っています。

伊藤琴音

・なので後半から式田和が入った時点で、「あ、ここからは前線のスピードや背後もかなり使っていくんだな」というのは分かりやすかったです。ただ、実際にはそれだけじゃなくて、前半より前に顔を出す選手が増えて、短いパス交換の中から前進する場面も出てきた。後半途中からは3バック気味のかなり攻撃的な形にも変わって、前線の個の強みを出しやすくしたように見えました。

・その数時間前に見たメニーナが、主力を何人も欠いた状態で大学生相手にボールと配置で試合をコントロールして3-1で勝っていたので、後半にベレーザが前線のスピードや個の推進力を一気に前へ出していくのを見ながら、「同じ日に見るとやっぱり結構違うなあ」という複雑な気持ちは正直ありました。さっき散々10年後20年後みたいな話をしていましたしね。

・ただ、結局サッカーは結果の勝負でもあります。僕が外から言っている長期的な話なんて、現時点では机上の空論でしかない。そしてこの日は、ハーフタイムの修正と前線の個の強みを生かす形が実際にハマって試合をひっくり返した。「もっとこういう形で見たいな」と思う自分と、「でもちゃんと修正して勝ってるからな……」という自分が同時にいました。

・あの形になった時点で、あとはいつ樋渡百花を入れるんだろうというのも見ていました。式田ちゃんを入れて背後を狙うなら、樋渡の裏抜けも当然かなり効く。ただ復帰してまだ間もない印象だったので、「こんなに長い時間使って大丈夫なのかな」という心配もありました。選手もかなり足りない状況だったので、仕方ないところはあるんでしょうけど。

・それでも入ったらしっかり仕事するんですよね。背後へ抜けて決定機を作るし、最後にはアシストという結果も残す。「ああ、樋渡だなあ」というプレーを久しぶりに見られたのは素直に嬉しかったです。

樋渡百花

・そしてこの試合でかなり大きかったのが式田ちゃん。去年まで山本柚月が右サイドにいた時って、チーム全体が詰まっていても、とりあえず右へ預ければ一人で前へ運んでくれるような安心感があったと思うんですよね。それがあるだけでチーム全体を一気に押し上げられる。

・式田ちゃんにも、少しタイプは違うけど、そういう存在になれる可能性をかなり感じました。山本柚月の場合はフィジカルも使ってゴリゴリ前へ行く印象が強かったですけど、式田ちゃんはもうちょっと独特。ドリブルのリズムがかなり変なんですよね。良い意味で。

式田和

・松永未夢もドリブラーではあるんですけど、松永は単純な速さより、相手の重心をずらしながら抜いていくようなタイプに見える。一方で式田ちゃんはそこにかなりスピードがあって、そのうえで「普通そこ行く?」みたいなプレーを突然してくる。なんかちょっと、頭の中でどういう処理してるのか分からない異次元さがあるんですよね。

・なので右サイドに式田ちゃんと松永という、タイプの違う強烈な選択肢があるのはかなり面白い。どっちをどう使うか迷うくらいのところまで式田ちゃんが来ても全然おかしくないと思いました。

・樋渡も戻ってきたので、前線にはドリブルで一気に陣地を進める選手もいれば、背後へのランニングで進める選手もいるし、パスワークで前進できる選手もいる。終盤は3バック気味の形も含めて、もう「推進力あるやつ全部並べました」みたいなファイヤーフォーメーションにも見えました。

・ただ、それでも単純に走って殴っているだけではなくて、一人剥がして、二人剥がして、そこから綺麗なクロスを上げてゴールを演出するみたいなプレーも出てくる。結局このチーム、選手がうますぎる。

・内容として「これがベレーザの理想形です」とまで思ったわけではないですし、午前中にメニーナを見たからこそ余計に色々考えてしまった試合でした。ただ、前半のまま押し切られたわけではなく、後半に距離感や前への出方を修正して、そこへ式田ちゃんや樋渡の個の強みを乗せてひっくり返したところは、普通に大きかったと思います。

・ただ、とはいえ最終的には全部結果の勝負です。そしてINAC相手に0-2からひっくり返して3-2で勝った。これは普通にめちゃくちゃ嬉しい。「あ、INACに勝つってこんなに気持ちいいんだ」という感じでした。

・朝から交通関係では散々だったし、メニーナを見たら見たでクラブの10年後20年後まで勝手に考え始めるし、西が丘では0-2になって「どうすんのこれ」となった一日でしたけど、最終的にはメニーナもベレーザも勝利。なんだかんだ最高の一日になりました。

・次回はちょっと用事があって行けないかもしれないので、しばらくカップ戦はお休みすることが多くなるかもしれません。また行けるタイミングで行こうと思います。一旦これで終わりです。

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