かつて、こんな興味深い話を聞いたことがある。
「生物はなぜ、睡眠をとるのか?」という命題についてだ。
睡眠という行為は、捕食者や外敵に対して完全に身を晒すことになる。生存戦略という観点からすれば極めて非効率であり、単純に考えれば「睡眠を必要とする生物はとうの昔に淘汰されているべき」ではないのか。
その疑問に対し、ある説はこう答えている。「生物というのは、そもそも『動いている』ことの方が異常なのだ。睡眠状態、つまり『止まっている』状態こそが、本来あるべき姿なのかもしれない」と。
正直、その発想はなかった。我々が目を覚まし、活動している状態こそがイレギュラーであり、それこそが「生物たらしめる行動」なのだとすれば。そんなイレギュラーな活動状態において、人間が古来より脈々と行ってきたのが「歩く」という行為である。
人類は、より適した環境を求めてひたすらに歩き続けた。過酷な自然の中で歩みを進め、そこに適応し、生存できた者たちだけが現代へと子孫を残している。つまり、私たち人類にとって「歩く」ことこそが生存の証であり、生命の原点なのだ。
しかし現代はどうだろう。
多彩な移動手段が発明され、人々の活動範囲は飛躍的に広がった。それと引き換えに、「ただ歩く」という移動手段はだんだんと淘汰され、効率的でより早く遠くへ行ける乗り物に取って代わられてしまった。現代社会において、歩くことの価値はひどく下がってしまったと言わざるを得ない。
もちろん、環境に合わせて変化していくのは当然のことだ。現代において「絶対に歩かなければならない」というわけではない。だが、我々のDNAに深く刻み込まれた、原点にして本能である「歩く」という行為。これをどうにかして、より長い時間行うことはできないだろうか……?
そんな人類のルーツに思いを馳せた時、導き出される一つの答え。
それが、「ヴェルディ徒歩部」の活動である。
……というわけで今回は、石巻駅からセイホクパーク石巻(一昨日、ベレーザが試合をしたところ)まで歩いてみました。
さて、朝もはよから上野で新幹線に飛び乗り、まずは仙台を目指す旅。もう年間何十回も新幹線に乗っていれば時間管理も完璧です。20分に新幹線が出発するなら、18分にホームに行けばいいのです。タイパ時代、やはり駅のホームで無駄な時間を過ごすのはナンセンス。
そう思いながら上野駅で弁当を買っていたら、そういえばエスカレーターが長いことを忘れていて、ギリッギリで新幹線に飛び乗るという「お茶目」な一面を出してしまいましたが、なんとか間に合いました。危ない危ない。

(振り返ってみると、写真がみどり色っすね)
そんな「リスク」を冒しながら今回選んだのは、このお弁当。山登りの「海」です。好きなYouTubeチャンネルで紹介されていたので、ウキウキしながら食べました。
これまではコンビニのおにぎりなどを持ち込む貧乏旅行が常だった私にとって、1,300円のお弁当はなかなかインパクトのあるものでしたが、食べてみるとビックリ。やっぱり美味しいです。
仙台駅に到着したら間髪入れずに乗り換えがあったので、仙台駅の写真は一切ありませんが、仙台駅から石巻駅まで電車で1時間ほどかけて移動します(ガタンゴトンっちゅーわけですね)。

(なんの関係もないけど、なんかいい写真が撮れたので一枚ここに置いときます)
さて、そんなこんなで電車に揺られ、石巻駅に到着です。
が、忘れてましたね。こっちらへんの電車って、内側から「開ける」のボタンを押さないと開かないんでしたよね。テヘペロと周りの人に頭を下げて、晴れて石巻駅に到着です。

(石巻駅のロータリーです)
さて、石巻駅からスタジアムまでは徒歩で約40分程度。40分程度の徒歩部活動なんて、徒歩界隈においてはもはやお散歩。ヴェルディお散歩部です、なんて考えながら、ふらふらとマップを見つつ石巻の街を歩いていきます。
以下、写真とハイライトです。

自転車って、「押す」の方が良さそうな気がしたけど、「引く」なんやね。感覚としては分からなくもないけど。

令和なのに安すぎる自販機。もう世の中はコーラで170円する時代ですよ?

道中のファミリーマート。なんかポケモンカードがめちゃくちゃ残ってた。あとで知り合いに写真を見せたら「買っておけよ!」と言われましたが、私は別にポケモンカードに興味はないので買ってないです。

相ちゃん以外の看板がほぼ消えてました。

天気がいいので、こういう道を歩くのめちゃくちゃ気持ちよかったです。どこまでも続く道、そびえ立つ山々。こういう場所を歩くのは最高です。

川が見えてきました。いま調べてみたら「旧北上川」というらしいです。……旧? と思って調べてみたら、元々北上川の下流域は洪水が多かったらしく、洪水対策のために別のルートへ水を逃がすようにしたらしいです。それで、いまや穏やかな流れになったこの部分は旧北上川と呼ばれるのだとか。

もうちょっと近づくと、空・山・草木、全部綺麗やねえって感じがします。

その旧北上川を渡る橋です。この橋、「ヤバ長い」です。

「なっげ〜」と言いました。こんな長い橋ってどうやって架けるんだろう〜っていつも思いますし、いつもそれ以上のことは考えません。

徒歩部活動をしていると、暇なのでずっと思いついた曲をハミングしながら歩くことになるのですが、元気に「薄紅色の〜」と鼻歌を歌っていると、ハナミズキが植えてあって、「奇遇やね。」と思いました。そして、なんでこの写真はモノクロだったのでしょうか。

それから、道中で何度か見かけたこれ。最初ギョッとしてしまったのですが、何やらお米みたいなものが入った袋がたくさん置かれてました。

アップするとこんな感じ。これなんだ?と思って調べてみるとですね、そりゃ雪国に暮らしたことがない人にとっては想像もできないことなのですが、Geminiが教えてくれました。

「塩カル」なんですって。ほへ〜。知らなかった。お米かと思った。

あと、その近くのセブンイレブンでは店内で焼き上げるピザが売ってました。すごい。初めて見た。

駅から30分ほど歩いて、そろそろスタジアムも見えてくる〜というところで、マップを見てみると「こっちに行け」とのこと。嘘でしょ? と思って現実逃避のためにもうちょっと進んだところから、曲がってみることにしました。

こっちのほうが水たまりすぎた。さっきのところで曲がってればまだよかったです。

というわけで道なき道を歩き、いよいよ見えてきました。セイホクパーク石巻。前回来た時は大雨でおしまいになってしまったのですが、今回は晴れてよかったです。

大きなスタンドがあるような会場でもないので、一応WEリーグフラッグを見かけて会場が間違っていないことを確認。

スタジアムをお借りしてる立場だからあまり言えないところでもあるけど、観客の立場として感想ぐらいは言っていいかなという前提でいうと、芝生が厳しかったなあ。寒い時期だしね。

というわけでヴェルディ徒歩部(in 石巻)はこれにて終了。
「徒歩ソムリエ」の見習いとしては、非常に歩きやすい道が続き、歩いている最中の気持ち良さなども含めて、大変おいしゅう道でございました。
ここからは普通に試合の感想です。
試合はなかなか厳しい面もありましたが、新機軸として採用した塩越選手のボランチ起用は面白かったですね。ゴール前で1つ、2つ運んで高精度なフィニッシュを決められるのが前半戦の大きな特徴だった選手ですが、ここに来てプレーポジションを1列どころか2列下げた。それでも持ち前のボールを失わないスキルはもちろん、常に味方の裏抜けを狙い続けていたり、6番としての役割を与えられたらきっちり6番として振る舞い続けていたのは本当にすごかったです。
そうなると前線でボールを強く保持しながら前進できる選手がいなくなってしまうので、この選択は難しいところではあります。ただ、今のベレーザの圧倒的な課題は6番不在の影響が大きいと思うので、なぜかボランチを補強しなかったことも含めて、塩越ボランチルートはもともと構想にあったのかなと思いました。
それから、やっぱりすごく気になっていることですが、前から行くのか後ろで受けるのかのチーム全体の共通認識はバラバラに見えちゃいますね。4−4−2で前線2枚で追いかけようとしても、仙台側は悠々とプレス回避してきますし、後半戦が始まってから随所に見える「前の2枚が追いかけた時に、その先のパスコースを切る動き」が連動できていない。誰がどこに付いていくのかが整理されていないようで、「それは中断期間のキャンプで仕込むものなのでは?」と思わなくもないですが、特にその整備の部分はめちゃくちゃ気になりました。
結局、前から行こうとしている割にパスコースを消せていないから、簡単に前にライン突破されて押し込まれる。押し込まれるからウイングバックも高い位置を取り切れず、さらに押し込まれるという流れ。強風と芝生の影響もあってグラウンダーのパスがかなり通りにくく、長いボールを使い続けるものの、結局仙台CBの2枚が完封で打つ手なし、みたいな試合展開が続いていたので、なかなかポジれなかったところではあります。思い返せば前節のWEリーグカップでも、勝利していながら選手たちは「内容はよくなかった」と明確に言い切っていたので、選手たち自身もあまり手応えがないのかなーという感じがしました。
あとは、まあ、野田になちゃんがベンチに帰ってきたということは、1回GKは戻してみるのも悪くない気がします。大場朱羽ちゃんがボールを持ったタイミングで「左足に持ち替えたところを狙え!」とめちゃくちゃに公言されながら狙われてましたので、セービングは確かに素晴らしいのですが、GKのところから落ち着かせられないせいでチーム全体がずっとバタバタしちゃう、というのはありそうです。うーむ、難しいところですな。
それから、小林里歌子はさすがのパフォーマンスでしたね。出てきてからボールに絡む回数こそ少ないですが、特に相手を背負う形でのボールの受け方はやはり参考になります。きっちり相手をブロックしながら3枚目の選手に落とせるし、それを中央のスペースがないところでできるのはさすがだなと思いました。中盤には塩越、前線には小林里歌子、後ろにはカツオさんなど、苦しい状況下でもハイパフォーマンスを見せている選手たちのプレーから何かを掴んでほしいなーと思った、というところで長々とした感想でした。
ちなみに、この後は石巻から仙台に帰る電車が大遅延して、新幹線に乗り遅れるパニックがありました(焦)
無事に新幹線の指定席は私を乗せないまま仙台駅を発進してしまいましたが、みどりの窓口に相談したら別便の指定席をいただけて、ハッピー・貴族の帰宅。ネットフリックスでWBCよろしく、ということで旅は終わりでした。
ちなみに新幹線の中で寝ていたので、WBCはほとんど見てないです。
おしまい。