WEリーグカップ準決勝進出!

いやー、よかったです。

本日の勝利で、なんとかWEリーグカップ準決勝進出が決定しました。

前節の長野では2点を先行され、今節の千葉戦では1点を先制される展開。それでも最後にはひっくり返して、2試合続けて苦しい試合をものにしたことになります。見ている側としては、なかなか肝が冷える90分でした。

試合後の選手たちの表情を見ていても、勝ちはしたものの「これでいい」とはまったく思っていないんだろうな、という空気は感じました。内容に対する納得のいかなさも、きっとあるのでしょう。

それでも、こういう試合を勝ち切ることには意味があると思います。去年のリーグ優勝だって、毎試合が完璧だったからではなく、うまくいかない時間帯のある試合でも勝ち点を積み上げた先にあったものでした。だからこそ、内容に課題を残しながらでも準決勝まで進めたことは、まず素直に喜んでいいはずです。

今日の試合を見ていて、いくつか思うことがありました。その中でも、特に強く印象に残ったことを忘備録として書いておきます。

まずは、氏原里穂菜のことです。

私がいつも試合を見ているのはメインスタンドで、ちょうどピッチの近くに選手たちがウォーミングアップをするスペースがあります。前半30分くらいから始まるアップの様子が自然と目に入るので、試合を見ながらそちらにも視線を向けることがよくあります。

ウォーミングアップのやり方には選手ごとの個性があります。たとえば猶本光は、前半戦にベンチスタートが多かった時期でも、ピッチの状況に目を配りながら淡々と、そして非常にプロフェッショナルに準備を進めていました。いつ呼ばれても入れるように整えているのがよく分かるアップです。

その中でも、個人的にずっと目を引かれる存在が氏原です。

ここまでの出場機会は、リーグ戦7試合で99分、カップ戦3試合で71分。正直に言えば、本人にとっては悔しい時間のほうがずっと長いはずです。

それでも今日の彼女のウォーミングアップには、こちらの目を留めるものがありました。

昨季のアウェイ大宮戦で放った、あの起死回生のゴラッソは今でも強く印象に残っています。あの試合、あの一撃がなければ、昨年のベレーザのリーグ優勝はなかったかもしれません。彼女の公式プロフィールで「印象に残った試合」としてあの試合を挙げているのを見ても、あのゴールが本人にとっても大きな意味を持っていることが分かります。

ベレーザの前線は、一芸に秀でるだけではなく総合力の高い選手たちが次々に出てくるポジションです。その中で氏原は、複数の攻撃的ポジションをこなせる器用さを持ちながら、シュートを振り抜く瞬間にはやはり生粋のストライカーらしい鋭さがある。あのシャープな球筋には、どうしても惹かれるものがあります。

ただ、今日の試合ではハーフタイムに塩越と樋渡が入り、その次に式田、さらに松永と続き、最後まで氏原の名前が呼ばれることはありませんでした。1点ビハインドでゴールが欲しい状況で出番が来なかったということは、少なくともこの試合においては、監督が別の選択をしたということです。もちろん前線の交代がすでに進んでいて、大きく形を変えたくなかったという事情もあったとは思います。それでも、選手本人にとって厳しい現実であることは間違いありません。

それでも、もう出場はなさそうだと思える時間になっても、彼女はウォーミングアップをやめませんでした。呼ばれる可能性が限りなく小さくなっても、やるべきメニューをひとつずつこなし続ける。その姿が、今日はとても強く印象に残りました。

試合に出る選手が注目されるのは当然です。でも、試合に出られないかもしれない時間をどう過ごすかにも、その選手の姿勢は表れるのだと思います。今日の氏原を見ていて、そういう準備をやめない選手がいるチームは、やっぱり強いのだろうなと感じました。

もうひとつ、今日あらためていい選手だなと思わされたのが塩越柚歩でした。

今日はベンチスタートでしたが、普段ならそう簡単にベンチスタートするような選手ではありません。コンディション調整なのか、あるいは軽い不安があったのか、そのあたりは外からでは分からないけれど、だからこそ余計に印象に残ったのがベンチでの振る舞いでした。

ハーフタイム、ビハインドで引き上げてくるチームメイトたちに対して、彼女は一人だけ走って近寄り、全員とハイタッチをしながら声をかけてピッチに入っていきました。あの姿には、ただ自分が出場する準備をしているだけではない、チームを前に進めようとする意思が見えた気がしました。

塩越は、こういうところが本当にいいなと思います。過去にも、得点後に喜ぶ選手へ応援席のほうを見るよう促していた場面がありましたし、自分がゴールを決めたときにも、きちんとその喜びをスタンドと分かち合おうとしていました。試合前後も、自分のグッズを持っている人たちには必ず手を振る。そういうひとつひとつの振る舞いに、彼女のプロフェッショナルさと誠実さが表れているように思います。

それでいて、魅力はそうした立ち居振る舞いだけではありません。試合に出れば、その時々で自分に求められている役割をきちんと遂行できるのが塩越のすごさです。

普段は前線で違いを作れるアタッカーでありながら、ボランチに入ったときには、自分で運んで相手を剥がせる力を持ちながらも、必要以上に前へ出過ぎず、そのポジションに求められているであろう配球や循環を優先できる。自分が目立つことより、チームに必要なプレーを選べる選手なのだと思います。

華やかなプレーだけでも、献身性だけでもなく、その両方を高いレベルで持っている。だから塩越柚歩は、やっぱりいい選手なのだと今日も思わされました。

氏原のように、呼ばれるか分からない時間にも準備をやめない選手がいる。塩越のように、自分の立場や役割がどうあれ、チームのために振る舞える選手がいる。今日の逆転勝ちはもちろん嬉しかったけれど、それと同じくらい、こういう姿が見られたこともまた嬉しかったです。

うまくいかない時間のある試合でも勝ち切れるのは、90分間ピッチに立った11人だけの力ではないのだと思います。準決勝進出を決めた夜に、そんなことをあらためて考えました。

おしまい。

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