「WEリーグの試合を見に行ってみたい!」
「いつもはヴェルディの試合を見ているけど、ベレーザの方も気になってきた!」
「年に何回かはベレーザの試合は見に行ってるけど、今年はどこが注目ポイントか知りたい」
こういった需要があるのではないかと思い、サポーター目線の「応援のしおり」という形で情報をまとめてみようかと思います。
軽い気持ちで読んでくれた人がうっかり「ベレーザの試合に行ってみたい!」と思ってもらえるような内容を目指しています。
また、注意点としてあくまで1人のサポーターが考える見どころになるので、大きく主観が入ってしまいます。それでもベレーザを楽しむための「しおり」のようなイメージで見どころを紹介していきたいと思います。
※なお本文中では日テレ・東京ヴェルディベレーザのことを「ベレーザ」と省略した形で記載いたします。
見どころ:WEリーグタイトル獲得に向けて、絶対に落とせない相手
WEリーグが開幕してから、次で4シーズン目を迎えます。
ここまでの3シーズンは初年度にINAC神戸レオネッサ(以下、INAC神戸)が優勝。2〜3年目は三菱重工浦和レッズレディース(以下、浦和レディース)が連覇という形で歴史を重ねてきました。
一方でベレーザは三年連続で3位。WEリーグ新設からまだ一度もリーグタイトルを獲得出来ていないのが現状です。
ベレーザといえば、なでしこリーグでは過去17回もチャンピオンに輝き、2015年からはリーグ5連覇を成し遂げたようにタイトルと共に成長をしてきたクラブです。その実績からすると3年連続でリーグタイトルを逃しているのは由々しき結果。
昨シーズンのホーム最終戦セレモニーでは、キャプテン・村松智子が『タイトル獲得』に向けての思いを語っていたことや、ファン向けのイベントでも「リーグタイトルが取れていない現状が悔しい」という旨の発言は数々の選手から出てきているように、チームが目指す一番大きな目標はリーグタイトルです。
村松智子選手
もちろん、ベレーザを応援しているサポーターたちも同じ思いがあり、一昨年に獲得した皇后杯でタイトルの味を知った以上、それをリーグタイトルという形で再び味わいたいのが本音です。
しかし、WEリーグ優勝の水準は高く、過去3年の成績を参考にすると、「3敗すると厳しい」「落とせる勝ち点は、どんなに悪くてもシーズンで8点」というほど。格下のクラブからの取りこぼしはドローであっても許されないような試合を続けなければいけません。
昨シーズンは開幕戦から好調に勝ち星を積み上げたものの、5節・6節と勝てるであろう試合を勝ちきれず、リーグの中盤には川澄奈穂美を中心に「勝てるチーム」へと仕上がっている新潟に痛い敗戦。前半戦を折り返す地点で4勝4分2敗と、その時点で実質的に優勝戦線から遠ざかってしまったようなシーズンでした。
悔しい思いをしてきた昨シーズン
加えて、リーグタイトルを狙う上で大きな意味を持つのが、昨年チャンピオンである浦和レッズレディース、また初年度チャンピオンであるINAC神戸との直接対決です。
この直接対決の持つ意味はとても大きいにも関わらず、WEリーグになってからの対戦戦績が非常に悪いのが現状です。
【INAC神戸、浦和レディースとの過去の対戦成績】
21-22 Yogibo WEリーグ
21.09.12 vs三菱重工浦和レッズレディース 1-2●(ホーム)
21.10.10 vsINAC神戸レオネッサ 1-0 ●
22.04.03 vsINAC神戸レオネッサ 1-3 ●(ホーム)
22.05.22 vs三菱重工浦和レッズレディース 2-2△
2022-23 Yogibo WEリーグ
22.10.30 vs三菱重工浦和レッズレディース 3-5 ●(ホーム)
23.03.19 vsINAC神戸レオネッサ 1-1△ (ホーム)
23.05.07 vs三菱重工浦和レッズレディース 2-2△
23.05.28 vsINAC神戸レオネッサ 2-2△
23-24 WEリーグ
23.11.23 vs三菱重工浦和レッズレディース 2-2△(ホーム)
24.01.08 vsINAC神戸レオネッサ 1-0●(ホーム)
24.04.14 vsINAC神戸レオネッサ 0-0△
24.05,25 vs三菱重工浦和レッズレディース 3-3△
合計
vs浦和 4分2敗
vsINAC神戸 3分3敗
リーグ戦に限定すると、ここまで両チームに勝利無し。リードを奪いながら追い付かれる、さらには逆転に持ち込まれる展開もありました。
2点をリードをしながら追いつかれたホーム・浦和レディース戦
クラブが目指すリーグタイトルに向けて、「いかに取りこぼしをしないか」と「浦和・INAC神戸との直接対戦で勝ち切れるのか」は今シーズンのベレーザの試合を見るための重要なポイントの一つです。
また、新シーズンに関してはリーグ開幕戦から浦和レディースとの直接対決。この試合に勝てるか勝てないかはタイトル獲得に向けて大きな意味を持ちます。
日程は9月15日(日)の18時キックオフ。会場は西が丘でヴェルディとの試合も被っていない日付なので、ぜひ興味があればこの一戦だけでもまずは足を運んでみてはいかがでしょうか。
見どころ:どう埋めるか、藤野あおばが抜けた穴
ベレーザがWEリーグになってから苦戦する理由の一つに、「人材流出」という言葉は避けて通れないかと思います。
一昨年にはシーズン中に中盤を安定させていた三浦成美、昨年オフはエースの植木理子・小林里歌子、その前には主将の清水理沙など、クラブの核となる選手が次々と活躍の舞台を世界へと移してきました。
植木理子・小林里歌子のスーパーコンビ
そして今オフにもチームにとって欠かせない戦力であった藤野あおばがマンチェスタシティに、宮川麻都がハンマルビーIFへと、揃って海外挑戦の道を選びました。
「選手のことを考えると海外で活躍をしてさらにレベルアップして日本女子サッカーのレベルを引き上げて欲しい…」という思いもある反面、チームの核である選手たちの退団によってチームの再構築を余儀なくされるのは事実です。
特に昨シーズンのチーム内得点・アシスト数トップの藤野が抜けた穴は、チームの攻撃の型を再構築する必要があるほどインパクトのある移籍で、そこをどのようにカバーをするのか、もしくは攻撃の形を組み直すのかどうかは一つの見どころになります。
チーム内得点・アシストトップの藤野あおば
控えるストライカー候補としては、昨シーズン・途中加入で5得点を決めた神谷千菜、同じく途中加入で4得点を決めた鈴木陽、メニーナからの昇格組でサイズもスピードもある樋渡百花に加えて、前十字靭帯損傷の大怪我から復帰した氏原里穂菜など、藤野の抜けた穴を埋める活躍に期待がかかるFWが揃っています。
それに加えて一際期待が高いのは「土方麻椰(ひじかたまや)」だと言うベレーザサポーターは少なくないでしょう。
相手を背負う土方麻椰
昨シーズンは17試合に出場で5得点。トップチームで試合に出場し始めた年から3年目になりますが、ここまで絶対的エースたちを前に、本職とは言えない中盤に近いポジションでプレーすることも少なくありませんでした。
しかし、そんな状況にも関わらず攻撃の組み立てに関わりながら、適所では自分で飛び込んで得点に絡んで5得点を積み上げてきました。それでも彼女にとってはまだまだやれたと思う納得のいかない成績だったと思います。
彼女にとってはもっと攻撃的なポジションでやりたいと思っていたであろうタイミングで訪れたこのチャンス。2004年生まれの20歳の彼女が爆発を見せるならこのシーズンしかありません。この土方麻椰が爆発出来るかどうかは、24-25シーズンのベレーザの運命に直結することになるかと思います。これは大きな見どころとして紹介させていただきました。
見どころ:加わった経験値との融合
今オフにベレーザは3名の新加入選手を迎えました。
一人目が海外から帰国をした小林里歌子。22-23シーズンに皇后杯タイトルを獲得した際の主力メンバーの一人です。力強いフィジカルでボールをキープすることができるだけではなく、しなやかさを兼ね備える万能型。ボール回しに行き詰まった時の引き出し方が豊富で、攻撃の幅を広げられる選手です。
ただ、現在は怪我の影響ですぐに試合に出られる可能性は低く、まずはリハビリからのスタートになります。彼女がピッチに戻って来れば多大な脅威を与えることができるはずです。
小林里歌子
二人目が、アルビレックス新潟レディースから完全移籍で獲得した三浦紗津紀。新潟では3年間リーグ戦ほぼフル出場のセンターバックで、ハイボールへの対応や身体を張った守備が特徴です。昨シーズンのベレーザは、リーグだけではなくWEリーグカップでも新潟と対戦がありましたが、強固な守備には苦しめられてきました。
高さ・速さ・強さを兼ね備える選手であるため、引いた場面でも、前に攻め込んでからのカウンターの場面でも彼女の守備能力には期待されているはずです。特にベレーザは昨シーズンのスタメンとして大きく存在感を残した池上聖七が怪我で長期離脱を余儀なくされたことに加えて、昨シーズンは3バック主体で進めてきた布陣を4バックに移行させる際にも大事な存在になりそうです。
三人目が、こちらも海外からの加入でベレーザへの復帰となる小林海青。WEリーグ開始からはノジマステラ神奈川相模原でプレーをしていました。
特徴はなんといってもサイドを駆け上がる運動量と、ボールを持った時の展開力。激しいサイドのアップダウンの中でも的確にプレーする冷静さと技術を持っているため、3バックの一角としてのプレーも期待されています。またキック力に長けており、一発で相手のディフェンスラインの裏を突ける意外性のあるプレーも見せてくれるはずです。
今オフにはこの3名を迎えることになりましたが、共通点としては「経験値」だと思っています。
昨シーズンはステーティングメンバーの多くが20代前半の選手が占めていた中で、ゴールが決まらない時の焦りで攻撃が雑になり、チャンスを自分たちで簡単に手放してしまう展開も少なくありませんでした。
その原因が「若さ」が全てとは限りませんが、経験値が足りないという部分はチームにとって大きな課題でもありました。
そこで新たに加わった3選手たちと、この若いベレーザがどのように融合されるかは一つの見どころポイントになるかと思います。
見どころ:正ゴールキーパー争い
昨シーズン、ベレーザは二人のゴールキーパーを併用する形でリーグ戦を戦ってきました。
一人目はそれまで守護神としてゴールマウスを守り続けた田中桃子。もう一人は20歳ながら持ち前の冷静さとキック精度の高さを持つ野田にな。
左:田中桃子 右:野田にな
田中桃子が絶対的な守護神として君臨していた22-23シーズンとは打って変わって、リーグ開始前に行われたWEリーグカップから野田になが出番を掴み、その試合では勝利こそ叶わなかったもののビッグセーブもありながら1失点に抑える大健闘。
持ち前の肝の据わったプレースタイルと、広い視野と技術を活かしたキックで存在感をアピールしました。リーグ戦では4節からスタメンの座を奪うと、そのまま6試合連続で出場。その後も出場機会を伸ばして行き、シーズンを通して14試合に出場。
出場を重ねるごとに持ち前の冷静さは増す一方のシーズンを過ごしました。
野田にな
一方、田中桃子にとっては苦しいシーズンでした。出場試合数はわずか8試合。その前のシーズンにはリーグ戦で全ての試合に出場した正ゴールキーパーがここまで出場数を落とすとは、サポーターも驚きでした。
しかし、それでも出場した試合では全勝。積極的なコーチングでチームを後ろから鼓舞する姿は頼もしかったです。
また、ベンチを温める時間にもベンチからチームを盛り上げ、失点をした時には真っ先にベンチから飛び出してチームを鼓舞。外から試合を見る時間も多かった守護神ですが、この悔しい時間は彼女をまた一段と成長させてくれたのではないかと思います。
田中桃子
この正守護神争いがどのような結末になっていくのかは、新シーズンのベレーザを見ていく上で非常に重要なポイントになってくるはずです。
最後に
2024-25シーズンのベレーザの日程が確認できるスマホ専用画像を作っています。
今シーズンはリーグ戦と並行して、カップ戦を行う新スタイルでのシーズン進行となります。記事内でも紹介しているリーグ開幕戦は9月15日ですが、シーズン開幕は9月1日のNACK5スタジアム大宮で開催されるWEリーグカップです。
この日もヴェルディの試合と被っていないですし、比較的アクセスがしやすく試合観戦環境も良い大宮まで足を運んでみてください。
また、チケット購入に際しては以下の記事が参考になるかもしれません。
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