ドパやめ

最近やめたことがあるんですよね。

長時間のスマホ使用です。やっぱり、人間の欲をハックしたコンテンツに時間を溶かしまくるというのは健全じゃないような気がして。その危機感から、YouTubeは1日90分、X(Twitter)は1日45分と制限をつけてみました。

最初はツイッターが触れなくなったらおかしくなるのでは?と思っていましたが、実際に制限をつけてみると、あら不思議。別に普通なんですよね。むしろ、45分ギリギリまで触る日もほとんどなくなったという具合です。

で、空いた時間に何をするかをきちんと用意しておくのが肝だと思っています。過去に何度もデジタルデトックスに挑み、それはもう20回以上の成功体験を持つ私が言うのですから間違いありません。

で、何をするようになったかというと、読書です。

本って凄いですよ。私の通勤経路にはスマホの電波が悪くなる区間があるのですが、そこでも途切れることなく楽しむことができる。広告が流れてくることもないので、押しにくいバッテンを探すという作業も必要ない。大変素晴らしいコンテンツ視聴デバイスなんすわ。

ということで、この2週間くらいはスマホの使用を抑えて、読書にふけっていました。読書といってもあれですよ、難しい本は読めません。あくまで大衆小説です。

せっかくならコラムとして記事に残しておいた方が、後々振り返る時にも思い出しやすいかなと思い、この記事を書いている次第です。なので、今回はサッカーとまったく関係ありませんが悪しからず!

この2週間くらいで読んだ本

『推し、燃ゆ』宇佐見りん

宇佐見りん『推し、燃ゆ』の表紙

ブックオフの「話題の本」的な場所にあったので、なんとなく手に取ってみました。

が、これが凄い。ビックリするくらい、私にとっては「……で?」となってしまいました。

推し活がなんだと騒がれる現代において、何かヒントになるのかなあと思って期待して買ったところではあるのですが、どうにも共感しにくいというか、「う、うん……?」と締まりの悪いまま終わってしまった。

こういう話の展開だったら、普通は推しのおかげでハッピーになりました!という感じで終わるのかなと思っていたところ、想像以上に救いがなくて、「……?」となってしまったという具合の作品でした。

あまりにも気になったので、ほかの人のレビューも探ってみました。この現代的な書き方がいいとか、共感できるといった意見が散見されていて、へーと思いながら見ていました。まあ、それなりに私と同じような感想の人もいる気はしましたが。

ただ、それも分からんこっちゃないなという部分もあります。例えば、バイトや学校では完全に落ちこぼれているけれど、ネットの世界では一定の知名度や評価がある。ネット世界と現実世界で評価が二分されるという話は、現代の若い人たちにはありがちなものなのかもしれないなあと思いましたかねえ。

あと、本の中に出てくる会話で、「(学校に)来てて偉い」を「生きてて偉いって言ったのかと思った」と聞き間違える描写があるんですよね。

なんか珍しいというか、小説の世界って、基本的に登場人物は聞き間違えたりしない前提で進むものだろと思っていた節があったので、そこはおもれ〜と思って見ていました。


『親指の恋人』石田衣良

石田衣良『親指の恋人』の表紙

昔読んだ本、既に内容は忘れたけど読み返してみようシリーズ。

結構、石田衣良先生の作品が好きなんですよね。石田先生は、恋愛や性の描写がねちっこくていいんですよね。

最初に石田衣良作品を読んだのは、中学生だか高校生の時。申し込んだら無料で本を2冊もらえるという企画があって、適当に選んだ2冊の中にあった『4TEEN』が最初でした。もう1冊は『蹴りたい背中』だった。

あの2冊から私の読書体験はスタートしているので、振り返ってみるといい企画だったな。

この作品は、衝撃的な出来事を伝える新聞記事の切り抜きのような文章から始まります。1ページ目を見ただけで一気に引き寄せられるやつです。

そこに惹きつけられて過去に読んだ気がするんですけど、内容はさっぱり覚えていませんでした。でも『親指の恋人』というタイトルだし、メールでやり取りする話だったかな、という程度。

読み返してみて、なんで石田衣良作品が好きなのかを思い出しましたね。これあれです。東京の書き方がうまいんすわ。

私は新海誠作品が結構好きで、『君の名は。』とか『天気の子』とか。田舎の人から見た、キラキラした東京の描写を表現するのがうまいといいますか。

実際、東京なんて来てみると、自分の生活圏以外はあまり知らない。一人称視点で見れば、案外つまらないものだなというのが私の感想ではあるんですけど、それを「あたかも素晴らしいものでっせ!」と描いている作品が好きなんですよね。

石田衣良作品も、主人公が住んでいる街の描写が多いところが好きなんすよね。

『4TEEN』の主人公たちは月島に住んでいたし、今作では六本木ヒルズに住む主人公の目線を通して、そのエリアに住んでいる人間の気分を味わえる。追体験できるところがいいです。

この本も、読み返しながら思い出すところがありつつ、主人公に「こいつほんま」と思うところもありつつ、やっぱり面白かったっすね。ブックオフで120円でこんなに楽しめるのはありがたい!


『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』若林正恭

若林正恭『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』の表紙

オードリーのANNは結構聞いているんすよね。

もともとはバカリズムのANNを聞いていて、その番組が終わるという時に、ゲストで若ちゃんが出てきた回があった。それがきっかけで、オードリーANNに移行しました。

若林って、みんなが当たり前のようにやっていることに対して、「なんでそんなことやってんすか」と睨んでいるというか。若い時は、そういう世間の当たり前に苦言を呈して、つつきまくっているんですよね。

でも、いざ芸能界で何年も過ごしていくと、昔の尖っていた自分の文章に対して、「大体みんながやってるようにやっときゃ、いい感じになるんすわ」みたいな境地にたどり着いていく。

その変化が一冊に収められているのが面白かったです。

若い頃の若林の文章には、「世間のルールに従って生きている人間は何も考えていない」くらいの勢いがあるんですけど、年齢を重ねるにつれて、世間のルールにも一応それなりの理由があるんだなと気づいていく。

とはいえ、すべてを受け入れて丸くなるわけでもなく、ちょっと斜めから見てしまう視点はずっと残っている。そのあたりが、ラジオで聞いている若林とつながっていてよかったですね。

昔の自分の考えを、なかったことにしたり格好よく修正したりせず、「あの頃はこう思っていました。でも今はこうです」と並べて見せてくれるのもいい。

人間なんて、年齢や環境が変われば考え方も変わるものなので、過去と現在で言っていることが違ったって別にいいんですよね。むしろ、ずっと同じことを言い続けている人の方が、それはそれで大丈夫なんかと思います。


ということで、ここ2週間ほどで読んだ本の感想でした。

改めて考えてみると、別に読書する時間がなかったわけではなかったんですよね。電車に乗っている時間も、寝る前の時間も、それなりにあった。ただ、その時間を全部スマホに吸い取られていただけだった。

スマホを制限したら、急に人生に新しい時間が生まれたわけではありません。もともと持っていた時間が、ようやくこちらに返ってきただけです。

もちろん、本を読んでいるから偉いとか、ツイッターを見ているから駄目だとか、そういう話ではないです。私もツイッターは見ますし、YouTubeも見ます。なんなら、制限時間の中で必死に見ています。

ただ、何も考えずに画面をスクロールし続け、気づいたら何を見たのかも覚えていない、という時間は少し減りました。

その代わりに、面白かった本や、よく分からなかった本や、「こいつほんま」と思った主人公のことが、少しだけ頭に残っている。

今のところは、それくらいの変化で十分かなと思っています。

過去20回以上デジタルデトックスに成功してきた私なので、この習慣がいつまで続くかは分かりませんが、少なくとも次の1冊を読み終えるくらいまでは続いてほしいものです。

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